今まで多くのゴーマ怪人と遭遇しているだけあって、由貴はすぐに事件の真相を読み取っていた。
彼女には力はない。ただ、その事を放っておけるような性格ではない。


「大丈夫。きっと、亮兄ちゃん達が何とか・・・・・・」





゙バシッ!!゙





「いてっ!!」



突然、厚みのある何かで頭を叩かれたコウ。振り向くと、町子が教科書を持っていて、ムスッとした表情で立っていた。


「な、何すんのさ・・・」


「まだ掃除の途中じゃん。2人でコソコソ話してないで、掃除してよ。」


「ごめんね、町子ちゃん。」


そう言うと、由貴はホウキを手に戻っていく。逆に、コウは町子に引っ張られていく。


「ま、町子ちゃん・・・・・・」


「あんた、また由貴ちゃんにチョッカイ出そうとしてたでしょ?」


「!?。誤解だよ・・・・・・何だって、そんなに怒るのさ。」


そう言われ、立ち止まる町子。言われてみれば、なんでだろう?


「う~ん・・・・・・」


「??」


「いいじゃない!とりあえず、あんたはあたしの掃除を手伝うの!!」

















゙キーンコーン、カーンコーン゙





下校時刻となり、集団下校していく。帰る方向が同じ5人は、歩きながら話し合っていた。


「なあ、俺達で密かにダイレンジャーのスーツ作らないか?。このままじゃ間に合わないぞ。」


「そうだけど・・・・・・」


健一は気づいてないようだが、由貴には危険が迫っているのに集まることに賛成は出来ない。
そろそろ、若葉台町にゴーマ怪人が接近しててもおかしくはないからである。
難色を示していた由貴の肩を、コウがポムッと掴む。


「大丈夫。いざとなったら、僕がみんなを守るから。」


そう言うと、コウは自分の家に集まるよう健一達に伝える。
その様子を、脳内でさっきの言葉が復唱されながら、由貴は自分の家に向かうために別れた。


「みんな守る・・・って、どういう意味なんだろ・・・」












「・・・・・・今日はここまでにしようよ。」


町子の一声で、作業を取り止める一同。ほとんどスーツはできてきていて、手直しさえすれば完成になる。
まだ明るいが、時間は午後7時になる。あと少しだが、また明日やればいいだろう。


「じゃあ、また明日!」


コウに見送られながら、4人は帰路へ着く。部屋に戻り、窓から下を見て、みんなに手を振るコウ。
それに反応し、4人も手を振り返す。歩いていく友達を見つめ続ける。


「いい友達じゃあねえか。」


ひょこっと顔を出す白虎真剣。いつも学校に付いていってるが、その度に思っている。
コウは良い友達に囲まれ、立派な大連者となるための心構えを学ぶだろう。そして、そんな姿をコウの母が見たら何と言うか・・・。


「うん!。じゃあ、僕らは夕飯・・・・・・ん!!?」


何かおかしい。異変に気づいたコウは急いで部屋を出た。階段をかけ降り、マンションを出ていく。


「どうしたんでい?」


「みんなの姿が・・・みんなの体が揺らめいてたんだ!。まるで、蝋燭に点いてる火みたいに!!」


急いで追いかけるも、既に4人は消えていた。コウの背筋に、冷や汗が垂れていく。


「みんなは・・・」


「わかんねえ。ゴーマの仕業だとしたら、自分専用の空間にみんなを引きずり込んだんだろうな。」



ゴーマの怪人のパターンを分析する白虎真剣。コウはキッとした表情で、グッと白虎真剣を握る。


「白虎、そこに行く方法は?」


「ここら一帯に妖力で結界みてぇなもんを張り巡らせてやがるなら、気力を使って破りゃぁ入り込めるだろうぜ。」



その言葉を聞き、公園の中へ入って草影で黄金のキー・キバエンブレムを取り出す。
白虎真剣とキバエンブレム、両腕に持ったまま、胸の前で交差する。


「気力・・・転身!キバ、チェンジャァァァッッッ!!」


バッと腕を開き、キバスプレッダーにキバエンブレムを射し込んだ。