この調子なら、他の大連者もきっと断るだろう。ずっと天井を見つめながら、ある考えへと辿り着く。


「・・・おめぇ、自分が転身してモデルになろうかと考えてんだろ?」


「!?。白虎?」


布団に置いてある虎の顔を付けた剣が話しかけてくる。
そう、コウはダイ族の血を引いており、若干9歳にして、新たなる戦士・牙連者=キバレンジャーへと転身できる。
この剣は白虎真剣。キバレンジャー、コウの相棒と呼ぶべき存在であり、転身後に不可欠な戦力なのである。


「あれ?なんでわかるの?」


「そりゃあ、今までの行動から考えりゃぁ、おめぇさんの頭なんざ、すぐにわかるぜ。」


見透かされてるのが若干不愉快ではあるが、そんなことよりも内容である


「お前もダメだと思うの?」


「そりゃそうだ!。初めて転身するときも、子供だと舐められるって言ったろ?。それに、おめぇの友達に正体がわかったら、学校でも変な目で見られるぜ!」


大いなる力の代償、それは普通の生活を送れないことである。確かに、普段は日常生活の中にいるが、有事の際には戦わなくてはいけない。
そして、異端者であることを自覚しなくてはならない。人間というものは、偶像的なものには畏敬の念を抱くが、現実に具体化・露見したものはそうはいかない。
正体がバレ、最初は持て囃されるが、自分とは、人とは違ゔ力゙に恐怖を抱いていく。
だからこそ、亮は肉親である洋子、リンも親友である恵にさえ打ち明けない。


「゙力゙を持つってこたぁ、そういうことなんだよ!」

力を持つ。ヒーローと呼ばれる者達が正体がバレないように努める意味を・・・・・・。


「・・・・・・要するに、正体がバレたらヤバイってことでしょ?」


「あ?」


「大丈夫大丈夫。僕は子供ってことで、目をつけられてないからさ!。」


・・・・・・わかってはいないようだ。













夏で日が延びてるとはいえ、午後20時45分ともなれば暗くなっている。
そんな中、塾から帰宅中の少女が一段と暗い道を歩いている。


「遅くなっちゃったな・・・・・・近道してこ。」


さらに暗い道へ。狭い道を通り、抜ければ家のすぐ前まで出れる。


「・・・・・・あれ?」



道を抜けたら、全く知らない場所へ出てしまった。そこは木々が生い茂っており、暗い森のようだった。
振り向くと、通ってきたはずの道がない。少女は辺りを見回すが、完全に自分の家からは程遠い場所である。


「なに・・・・・・これ・・・・・・ねぇ、嘘でしょ・・・」



言い知れぬ恐怖が少女に襲いかかる。進んでも進んでも、出口がない。
その中で、ポワッと光が見えてくる。それは小さい火、蝋燭に灯されたも光。
藁をも掴む気持ちで、走っていく。とにかく、人に会いたい、家に帰りたい。