━━━━バイロック内部━━━



かつてバイラムを支配していたジューザが座っていた玉座。ダイレンジャーとジェットマンを斃した者が新たな王となり、座ることを許される。



「・・・・・・そう、地球に来た時に決めたはずだ!。なのに、なぜ貴様は玉座に座っている!?」


激昂するラディゲの前には、玉座に座るトランザの姿がある。
自分が座るはず。そう思っていたラディゲにとって、なんともいえない悔しさであった。


「・・・・・・助けてやったのにそんな態度は・・・」


「何ィッ!!」


しかし、実際にトランザが介入しなければ、ラディゲはリュウレンジャーに斃されていただろう。
バイラムの誰もがそれを理解している。トランザの実力と共に、生で見せつけられたのだから。


「ビスマルク、貴様は良いのか!?。トランが・・・トランザがあの玉座に座っていても!」


ジューザを中心としたバイラムに使えてきたビスマルクにとって、あの玉座へ座る人物はただ一人のはず。
ビスマルクはその厳しい眼でトランザを見る。


「・・・・・・」


トランザはトランザで、ただ座ってビスマルクを見ている。互いに考え、相手を見極めようとしているのだ。
しばらくの静寂の後、ビスマルクは後ろを向いてしまう。


「どうした、ビスマルク!」


「小生はジューザ様に忠誠を誓ったのみ。玉座に座るのが強き者・・・・・・ただそれだけの話だ。」


そう言うと、ビスマルクは奥に引き上げてしまう。同じく、アイリーンも立ち去ろうとする。


「待て。アイリーン、お前は俺を帝王と認めるか?」

呼び止めるトランザ。一度、裏切り者としてバイラムに参じたため、その心境がどんなものか知りたいのである。


「私は王が誰だろうと興味はない。お前が強いのは認める・・・・・・だが、お前の剣には美学がない。」

立ち去るアイリーン。トランザは鼻で笑う。その横で、ラディゲは憤怒の余り、拳を震わせていた。




















若葉台町の東にある日の出山。そこには、小さいながら滝が存在する。
由貴は、そこで木刀を振っていた。それも、ただの素振りではない。脇に木刀をすえ、一気に振り切る。
それを何回も繰り返す。アイリーンの居合い斬りに対抗するためには・・・・・・。


「・・・・・・由貴ちゃーーーん!!」


「!!?。この声、この気・・・町子ちゃん?」


木刀を置き、町子と合流する。それから、町子から起きた事を聞いた。
トランザの出現、それはダイレンジャーとジェットマンのみならず、地球にとっての脅威となるのは間違いない。
そう思えば、修行中に感じた強大かつ邪悪な気に納得いく。


「だから、みんなで力を・・・」


より協力体勢を強くしなければならない。町子はそう言いたいのがすぐにわかる。
今までと同じように。今までと・・・・・・。


「町子ちゃん、言いたいこと、良くわかるよ。でもね、今度からはそれだけじゃダメな気がする。」


そう言うと、由貴は再び木刀を振り始める。迷いがない、真っ直ぐな瞳。それに対して、当たり前の意見を却下された町子は驚きの表情を維持してる。


「なんで!?。今まで、みんなで協力して・・・」


「それも必要。でも、敵はどんどん強くなってるし、今までの攻撃が通用しない相手が出てきてる。それであたしは・・・・・・1回死んでる。」


「あ・・・・・・」