「・・・1、0。」


「何だ?。10秒でみんな斃すんじゃなかったのか?」


「君は特別だ。リュウレンジャー、君は俺の力を味わいながら倒れてもらいたいのさ。」


ラディゲとは比類できないようなパワーとスピード。リュウレンジャーは走り出し、得意のスタイルで振るう。



「やああアッッ!!」


「フンッ!」



互いの剣がぶつかる瞬間に、金音が響く。ビシビシと震えと火花が放たれる。
リュウレンジャーの戦い慣れた剣術とは違い、まるで遊びのチャンバラのような剣であるトランザ。
しかし、確実にボルトランザが狙う場所は急所となる部分だ。


「あのトランにしたら、よく剣での戦いを学んだもんだ。いつも自分の手は汚さずに戦ってきたくせに。」

「剣など、相手の戦い方を分析し、弱点となる部分に剣を振ればよいだけだ。」


゙バシイィィィッンッッ!!゙



「!?」


鍔迫り合いをするかと思った。確かに剣同士が触れた感触もある。


「や、やられてる?」


ダイレンスーツには斬られた跡がある。自分の感覚は間違いではない。なのに、なぜ自分は斬られているのか。


「クッ・・・・・・!!?。な、何だ!?」



振り向いた時、リュウレンジャーは動きを止めてしまった。
錯覚かと思ったが、それは違う。自分が攻撃を受けた理由が、その証拠となる。
トランザの姿が、分身しているかのように何人も映っているのである。


「フハハハ!。これが゙ミラージュスパダ゙!!」


笑いながら剣を振るうトランザ。確実にリュウレンジャーはその斬撃でダメージを受ける。



「ぐっ・・・・・・」



見切れない。今まで、同じような技を持っていた敵と戦ってきたはずなのに。威力やスピードが段違いだ。
素早い動きで戦うスタイルである自分よりも、剣を振るう速度は折り紙付きともいうべきもの。
打開するためには、気力技を使うしかない。


「吼新・・・・・・!!?」


技を発動しようとした時、゙ミラージュスパダ゙が襲い掛かる。
もう気力技を発動させる暇はない。分身に戸惑いながらも、リュウレンジャーは白虎真剣を振るう。







゙ジャギィィィンッ!゙





ダイレンスーツから大きく火花が散る。リュウレンジャーが倒れないよう踏みとどまる。
強い。今このまま戦っても、勝ち目は薄い。その考えを悟ってか、レッドホークとブラックコンドルはバードブラスターで地面を撃つ。
高濃度電子イオンで構成された光弾はアスファルトを蒸発させ、煙を生んだ。
視界が遮られるバイラム達。晴れた頃には、既に戦士達の姿は消えていた。


「逃げられたか。」










゙ゴンッ!!゙




「違う・・・あいつは逃がしたんだ。」


壁を拳で叩く竜。トランザならば、煙が晴れる前に自分達に追撃を出来たと考えている。


「きっと遊んでいるのね・・・トランの時と同じで。」


まるで、いつでも斃せるといわんばかりである。あまりに舐められている。あの鋭いながらも、致命的な負傷を負わせない戦い方がそれを物語っている。
特に゙ミラージュスパダ゙を受けたコウと竜は犇々と感じさせられていた。