何かが弾む音。振り返ると、そこにはバスケットボールを持った男性が立っていた。
おかしい。それは今まではいなかったはずの人物。ここは自分以外、いなかったはずなのに。


「た゛、誰………」


「ふ………君はもう家に帰れない………」



ボールを半回転させ、覆面に変える。少年はそれに驚き、反射的に走り出していた。


「うわあぁぁぁァァッ!」



「逃がさん………゙SLAM DUNK゙!!」


力強く、逃げる少年に向けて投げられる。覆面はどんどん少年に迫っていき、後ろ向きの状態で覆面が顔を覆った。


「わ、わああァァァッ!」


視界を奪われた少年は立ち止まり、覆面を取ろうとする。しかし、ビクともしない。



「助けて…………誰かァァァッッ!」
















「子供の悲鳴!?。」


少年の悲鳴を聞きつけたリンは、声のした方向へ走り出す。
トンネルへ差し掛かると、その奥で男が少年を連れ去ろうとしていた。


「待つアル!」



男もそれに気づき、少年を抱えて逃げ出した。それを追いかけるリン。
追いつけない。そう思ったリンは、右手に気力を集める。



゙ふわぁぁ………゙



気が渦を作り出していく。それを男の方へと放つ。しかし、男は風をジャンプして避けきった。



「!?。」


予想を超える動きの良さに驚かされた。その場に行くものの、男と少年がジャンプしたまま降りてこない。
トンネルを抜けたところだ。もしかしたら、逃げられたかもしれない。


「しまったネ………」


これでまた生贄の数が増えてしまった。あと1人揃ったら………。



「ヴァァァァジィィィンンンッッ、ふぅああぁぁぁKEEEEEN!」


「!?」


後ろを振り向くリン。そこには、将児からの報告通りの特徴を有する怪人・ガマグチ法師がいた。
リンは抵抗するも、首を絞められてしまう。その後、直接覆面を被せられる。


「ううッ!これは…………」


抵抗するリン。しかし、ガマグチ法師がパチンと指をならすと、力を失ったように倒れてしまう。


「揃っTA揃っTA!ギャHAHAHAHA!!」















━━━東京駅地下・ダイレンジャー本部━━━




「何ッ!?………わかった。」


大五からの連絡は、リンのオーラチェンジャーの探知が出来なくなったということ。
これが意味することは、妖力による妨害・又は妖力の集まる場所にリンがいることになる。
捜査中に捕まったと思われるが………。


「そうか!。リンを最後の生贄に………。」


子供でなくとも、穢れを知らない乙女は少なくない。リンも生贄として連れ去られた可能性がある。


「将児!」


「…………ああ。」


特訓を終えた将児が、本部を出る。嘉挧も焦っていた。゙ニードロブードロ゙は、儀式の原因から14日以内に行われなければならない。
今日はその最後………。ゴーマは生贄が集まった今、すぐにでも行うだろう。


「間にあえよ………」















━━━若葉台町━━━




リンの反応が消えた場所に到着した将児は、黒いランドセルを見つける。どうやら、子供を追いかけてる途中にさらわれたのだろう。



「………!?。これはリンのイヤリング………。」



きっと抵抗したのだろう。将児は急いでトンネルを出る。すると、妙なポルシェを見かける。
真っ黒な格好をした男女が乗っており、コットポトロが運転をしている。



(ゴーマか!?)