健一の眼に一番強く映るのは、長身で体格がいい者。
他に渡ったボールもすぐに奪い、次々と点を入れている。
その男性は大きくジャンプをして、ボールを強く、リングに叩きつけた。



「SLAM DUNK!!」






゙ガシャァァァァン!!゙








リングが音を挙げながら、激しく揺れ動く。健一はその姿に、思わず笑顔になった。
あの有名な漫画のタイトルになったダンクが目の前で見れた事に感動していたのである。
他の選手も唖然としているようで、ボールが転がっていくのに広っていない。
そんな様子なので、健一は自転車をこいで、ボールを拾いに向かう。
角を曲がり、赤レンガ倉庫の裏側に出る。すると、何かが自分とすれ違った。
気になって振り向くと、バスケットボールが跳ね返っていた。


「何で……?誰もいないのに………」


誰かが返したわけではない。独りでにボールが動いているのだ。
そのボールを、さっきスラムダンクを決めた男性がキャッチする。
男性は健一を見つめ、ニヤリと笑った。



「君にはもう…………帰る家もない………」


「え!?」


不可解な言葉を発する男性。彼はボールを指に乗せて回転させる。
回転が収まると、そこにあったのはボールではなかった。
まるで、福笑いのお面のような何か。



「SLAM DUNK!!」




男性は高くジャンプし、それを健一に向かって、勢い良く投げつける。
驚く健一だが、あっという間に接近し、自分の顔に覆面として被らせられてしまう。



「うわぁぁぁァァッ!取れない………取れないよォォッ!!」














゙ガシャンッ!゙










「!?。ケン坊?」



悲鳴がしたため、将児は急いで倉庫の裏へと走る。そこには、自転車が倒れていて、その先では男が健一を抱えて逃走しているのであった。


「助け………うわぁぁァァッ!」



「ケン坊!。てめぇ、待ちやがれ!!」


将児はすぐに追いかける。体力はある程度回復したので、自慢の脚力で距離を縮めていく。
しかし、目前まできて、男は消えてしまう。


「!?。ど、どこに行きやがった?」


「KOKOだYO~~。」


「!?」


将児が後ろを振り向くと、そこには赤い大槌があった。それで小突かれた将児は空に浮いてしまう。



「ウワァ!…………気力転身!!」


オーラチェンジャーが輝き、空中でテンマレンジャーに転身する。
身体能力がアップしたため、それからクルリと体を回して倉庫の屋上へと着地した。
テンマレンジャーは下を見ると、明らかに人あらざる怪人が立っていた。



「MA!まさか大連者だったとHA!。驚きだNE!!」


「俺はテンマレンジャーだ!てめぇは何だ!?」


「OREは法師………出たZO出ましTA、ガマグチ法師~~!!!」



ガマグチ法師はその名の通り黒いガマグチ財布のような姿をしていた。
財布型の中央には一つ目があり、ゴーマ怪人であることを表している。


「ゴーマ………ケン坊をどこにやった!」


「OSIEないYO~~~だ!」



「だったら、力ずくで聞き出してやるぜ!」



テンマレンジャーは屋上から飛び降り、ガマグチ法師に殴りかかる。
それをガマグチ法師は避け、大槌で着地した瞬間に殴りつけた。


「うわァァッ!」



はね飛ばされ。テンマレンジャーは地面を転がっていく。
すぐに起き上がり、スターソードを抜く。ガマグチ法師はそれを見ると、ガマグチを開いた。
そこには、健一が被せられていた覆面と同じ球体がある。


「KOREで近づけなくしてやRU!。ガマグチSAPPO、゙GAMA DUNK゙!!」