゙地獄の鍵゙。それはまさに、霊力を自身の力として用いることの出来る最強の武器。
これがあれば、父を跪かせる事ができると、自覚できる。


「わかったでしょう?。………さあ、命乞いをしてくださいよ!」


勝ち誇ったように笑うナーガレンジャー。この力こそが、世界を統べる力なのだ。


「ハァ…………ハァ…………フンッ、ハハハハハ!!」



自分が不利であるにもかかわらず、笑っている。シャダムの奇怪な行動を読むことができない。


「何がおかしいんです?」


「いや、勝ったつもりでいるようなのがおかしくてな。阿古丸、お前は何かをはき違えている………」


「!?。ハッ…………」



ナーガレンジャーは自分の体を見た。そこには赤い稲妻が体を拘束しているのであった。


「これば自在縄゙…………くそ………」


いつの間にやられていたのか。いや、シャダムはそんな暇はなかったはず。


「わからないか?ゴーマは総力戦でいくのだ…………つまり!!」


ナーガレンジャーは背後を見る。そこには、思いもよらない人物がいた。


「阿古丸…………ワシは悲しいぞよ………」


「ゴーマ15世……………゙大地動転の玉゙まで使って………」


ゴーマ皇帝の証にして、持ち主の妖力を最大化させる゙大地動転の玉゙。
霊力を使っているナーガレンジャーをもってしても、その゙自在縄゙を破れない。


(ゴーマ15世が前線へ……………やはり、初代が言っていたことは…………)



「ハハハッ!。阿古丸、わかっているぞ…………ここにコウの母がいるのだろう?。」


「!!?」


「そいつど地獄の鍵゙を使い、バキを操る事が目的だったんだろうが、母親は俺が殺してやる!!」


「な、なんだと!?」



バレていた。自分がコウの母親に執着していることに、バキと化したコウを見せようとしている事に。


「フンッ…………」


鼻で笑うと、シャダムはナーガレンジャーがあえて遠ざけていた倉庫へと向かう。



「グッ………」


急がなくてはならない。解こうど地獄の鍵゙の力を引き出すが、負けじど大地動転の玉゙も妖力で対抗してくる。
ゴーマ15世は常に笑っている。シャダムの事を気にもせずに。


「ホホホホ………………グゥッ!」



「!?」


突如、顔つきが変わる。それと同時に゙自在縄゙が解かれ、自由になった。
ナーガレンジャーは改めてゴーマ15世を見る。すると、スターソードがゴーマ15世の背中に刺さっていた。



「あれは…………」


ナーガレンジャーは上空を見る。そこには、10の光が跳んでいた。それがスタッと着地し、ゴーマ15世へと近づいていった。



「大連者…………」


そこにいたのは亮達が変身する大連者だ。キッズ達はいない。


「まさか………」


もしシャダムとの会話を一部始終見られているとしたら、微々たるものではあるがキッズ達の誰かがコウの母の気を探知しているとしたら。













「こっち!」


由貴が先導してキッズ達はシャダムを追いかける。一部始終が見えたために、コウの母の居場所へ向かっていたのである。
加えて、由貴が持つ指輪の光がシャダムの走る方向へ進む度に大きくなってるのである。


「ほぼ間違いないみたいだね。」


健一はやる気に満ちあふれていた。今度こそ、コウを取り戻すキッカケになるのだから。



「あれだ!」



正夫が指した方向には倉庫があった。シャダムもそこへ入っていく。
場所は確定した。今度は、コウの母が殺されないようにしなければ……………キッズ達は歩みを速めた。