ずっと眠り続けているのだろうか。人形のようにピクリともしない。
(普通は………王子様のキスで、お姫様が起きるけど…………)
由貴はコウに顔を近づけていく。通常なら恥ずかしいが、これなら出来るかもしれない。
前みたいに、事故ではなくて、本当に…………。
接近するにつれて、頬が赤くなってしまう。例え眠ったままでも、好きな人が近くにいれば、緊張してしまう。
まだ恋を知ったばかりの由貴にとって、それはとても勇気のいることなのだ。
(もう少し………………)
後少しで、唇が重なる。
「………………やっぱり…………無理だ………」
顔を離れさせる。こんな風にしても、きっと嬉しくない。今は、そんな場合ではないのだ。
「でも、どうしよう…………ん?」
ガサゴソとコウのジャンパーの裏で動くものがある。ハッとして、それを取り出した。
「ウハァ!久しぶりだなぁ………由貴!!」
「びゃ、白虎ちゃん?」
動いていたのは白虎真剣だった。それから、由貴は今までの事を聞き出す。
どうやら、大神龍の襲来後にバキはこの洞窟にやってきて、眠りに入ったらしい。
気力と妖力によって腐敗をしないように体内の気を調整し、いわば冬眠状態となっているようだ。
「…………と、俺が言えるのはここまででぇ。由貴はどうやって、ここに来たんだ?」
「あたしにもわからない………この指輪を拾ったら、ここに………」
゙クワァァァァンッ!゙
由貴は白虎真剣に指輪を見せる。すると、白虎真剣の眼が紅く光り、指輪と共にコウへ閃光を放つ。
それはコウを包み込んでいく。由貴は驚いて視線を向ける。
「な、何なの!?」
疑問だらけだが、それを理解しようと頭を回転させている。
間違いなく、コウの身に何かが起きているのだから。
やがて、光が収まり、元の暗い空間を取り戻した。由貴は何故かコウへ向けて足を向けた。
何かがある。そんな予感だけが由貴を支配していた。
「コウ君………」
゙ピクッ゙
「!!。指が………」
思わず、由貴は動きを止めてしまった。驚きだけではく、その異変を感じ取ったからである。
なぜ急に………。それは、白虎真剣と指輪が関係していると、察するには十分すぎる証拠がある。
そして、コウの眼が開いた。
「……………うん…………僕は…………」
どれくらい寝ていたのだろう。またリンに怒られてしまう。
確か、みんなと遊ぶ約束をしていて…………。
「コウ君!!」
「!?」
ハッと振り向く。そこには、由貴の姿があった。しかも、多少眼が涙ぐんでる。
「ど、どうしたの?」
「…………覚えてないの?」
「覚え……………あ…………」
少しずつだが、思い出してくる。不意に眠気に襲われ、夢で阿古丸に出逢った。
そこで告げられたのだ。゙お前は血に目覚める゙と。そして、バキとなって……………。
「!!?」
ハッと頭をよぎる。コウは自分が何をしていたのか、これから何をするのか自覚した。
急に冷や汗が出てくる。慌てて由貴を見ると、喜びながら歩み寄ってきている。
「だ、ダメだ!由貴ちゃん、僕に近づ…………」
「え…………?」
由貴は動きを止めた。コウの話している内容は理解できないが、真剣な表情で言われたので従う。一方、コウは後ずさりをしてなるべく由貴から離れようとしていた。
「!!!。グ…………」
右腕が痛む。これは、二の腕にされた虎の焼き印だ。それがジャンパーの下からでも、クッキリと紅く光のがわかる。
「…………!!?」
由貴はその光に恐怖を感じた。バキが放っていた重苦しい気や、阿古丸と同質のものを感じたためである。
「コ、コウく…………」
(普通は………王子様のキスで、お姫様が起きるけど…………)
由貴はコウに顔を近づけていく。通常なら恥ずかしいが、これなら出来るかもしれない。
前みたいに、事故ではなくて、本当に…………。
接近するにつれて、頬が赤くなってしまう。例え眠ったままでも、好きな人が近くにいれば、緊張してしまう。
まだ恋を知ったばかりの由貴にとって、それはとても勇気のいることなのだ。
(もう少し………………)
後少しで、唇が重なる。
「………………やっぱり…………無理だ………」
顔を離れさせる。こんな風にしても、きっと嬉しくない。今は、そんな場合ではないのだ。
「でも、どうしよう…………ん?」
ガサゴソとコウのジャンパーの裏で動くものがある。ハッとして、それを取り出した。
「ウハァ!久しぶりだなぁ………由貴!!」
「びゃ、白虎ちゃん?」
動いていたのは白虎真剣だった。それから、由貴は今までの事を聞き出す。
どうやら、大神龍の襲来後にバキはこの洞窟にやってきて、眠りに入ったらしい。
気力と妖力によって腐敗をしないように体内の気を調整し、いわば冬眠状態となっているようだ。
「…………と、俺が言えるのはここまででぇ。由貴はどうやって、ここに来たんだ?」
「あたしにもわからない………この指輪を拾ったら、ここに………」
゙クワァァァァンッ!゙
由貴は白虎真剣に指輪を見せる。すると、白虎真剣の眼が紅く光り、指輪と共にコウへ閃光を放つ。
それはコウを包み込んでいく。由貴は驚いて視線を向ける。
「な、何なの!?」
疑問だらけだが、それを理解しようと頭を回転させている。
間違いなく、コウの身に何かが起きているのだから。
やがて、光が収まり、元の暗い空間を取り戻した。由貴は何故かコウへ向けて足を向けた。
何かがある。そんな予感だけが由貴を支配していた。
「コウ君………」
゙ピクッ゙
「!!。指が………」
思わず、由貴は動きを止めてしまった。驚きだけではく、その異変を感じ取ったからである。
なぜ急に………。それは、白虎真剣と指輪が関係していると、察するには十分すぎる証拠がある。
そして、コウの眼が開いた。
「……………うん…………僕は…………」
どれくらい寝ていたのだろう。またリンに怒られてしまう。
確か、みんなと遊ぶ約束をしていて…………。
「コウ君!!」
「!?」
ハッと振り向く。そこには、由貴の姿があった。しかも、多少眼が涙ぐんでる。
「ど、どうしたの?」
「…………覚えてないの?」
「覚え……………あ…………」
少しずつだが、思い出してくる。不意に眠気に襲われ、夢で阿古丸に出逢った。
そこで告げられたのだ。゙お前は血に目覚める゙と。そして、バキとなって……………。
「!!?」
ハッと頭をよぎる。コウは自分が何をしていたのか、これから何をするのか自覚した。
急に冷や汗が出てくる。慌てて由貴を見ると、喜びながら歩み寄ってきている。
「だ、ダメだ!由貴ちゃん、僕に近づ…………」
「え…………?」
由貴は動きを止めた。コウの話している内容は理解できないが、真剣な表情で言われたので従う。一方、コウは後ずさりをしてなるべく由貴から離れようとしていた。
「!!!。グ…………」
右腕が痛む。これは、二の腕にされた虎の焼き印だ。それがジャンパーの下からでも、クッキリと紅く光のがわかる。
「…………!!?」
由貴はその光に恐怖を感じた。バキが放っていた重苦しい気や、阿古丸と同質のものを感じたためである。
「コ、コウく…………」