やがて、日没の時刻になった。夜中も光が絶えない社会になったとはいえ、今なお太陽の出入りは人々の行動基準となっている。
1日の労務を終えた労働者を乗せた電車が通り過ぎる。皆、疲れた表情をしている。
1人の男性がふと窓を見る。すると、空に灰色の巨大な球体が浮遊しているではないか。
目を擦ってもう一度見る。そうしたら、あるのは夕陽だけだ。やっぱり見間違いなんだ、そう男も納得したのだった。
だが、実際は無かったのではない。見えなくなっていただけだ。球体は電車の上空、高い位置にまで来たのである。
それは、都心の中でも有数の高層ビル。不況下でも高家賃で住んでる人もいれば、日本の経済を左右するような企業がオフィスを構えている場所だ。
その屋上には、3つの人影があった。全身が黒ずくめのスーツで、何やら妖しげに会合している。
「これが現代の世界だ…………ガラ、ザイドス。」
言葉を発したのは、顰めっ面の男だった。下に見える幾つもの光を指していたのである。
「臭え…………臭えぜ。所詮、゙シュラ族゙が気づいた世界なんて、ゴミ同然だ………。」
ザイドスと呼ばれた男は、この風景に不満そうだった。不満というより、嫌悪しているような感じだ。
「ええ。だから、私達゙ゴーマ゙がこの地球を支配し、あるべき世界を作る……………よね、シャダム。」
ガラと呼ばれた女性はトランクを持っており、中からは紅色の光を取り出した。
そして、最初に言葉を発した男・シャダムはガラの言葉に頷いた。
3人は紅い光を軸に囲む。ガラが手を放しても紅い光は浮いており、3人は両手を伸ばして念じ始めた。
「さあ、我らゴーマの………………復活だッ!」
シャダムが言葉を発すると、紅い光は妖しげに輝きを増し、更に上空へと上昇し始めた。
光は球体にまで達すると、それに吸収されていく。球体の方は中心部分が門のように開くと、目玉が現れる。
それから幾つもの紅い光が放たれ、地上へ降り注いでいった。
ある廃棄処理所。壊れた車の上で、制服の少年はヨーヨー回しに興じている。
ふと上を見ると、紅い光が迫っていた。だが少年は慌てることはない。
やがて、光が少年に命中した。少年は苦しそうにもがき、頭を押さえている。
「が……………あ…………ううぅぅぅ……………トゥゥゥギャザアァァァァァ!!!」
少年の体は見る見るうちに奇怪な姿へと変貌していく。金色の紐が絡んだような上半身に、股間の盛り上がりがわかる下半身となっている。
左手は唇となっており、開くと蛇のように牙が生えている。頭部は輪のように紐が曲がっており、自転車用タイヤのスポークのように支えられており、中心には小さい目玉がある。
更に、胴から垂れ下がっている胸の先端には大きい目玉がキョロキョロと動いている。
「おおぉぉぉぉ……………6サウザンドイヤー振りのゲットアップだ…………。久々に腕が、いや、紐がサウンドするぅぅぅぅ………」
異形な紐の怪人は、全身から紐を伸ばし、そこら一帯へ張り巡らせる。
6000年という、長い眠りから醒めた反動だということだろう。
近くにいる猫や犬がその紐に巻かれると、ゴツッと音と共に動かなくなってしまった。
紐の怪人はそんなのは気にせず、闇夜の中で笑っているのだった。
1日の労務を終えた労働者を乗せた電車が通り過ぎる。皆、疲れた表情をしている。
1人の男性がふと窓を見る。すると、空に灰色の巨大な球体が浮遊しているではないか。
目を擦ってもう一度見る。そうしたら、あるのは夕陽だけだ。やっぱり見間違いなんだ、そう男も納得したのだった。
だが、実際は無かったのではない。見えなくなっていただけだ。球体は電車の上空、高い位置にまで来たのである。
それは、都心の中でも有数の高層ビル。不況下でも高家賃で住んでる人もいれば、日本の経済を左右するような企業がオフィスを構えている場所だ。
その屋上には、3つの人影があった。全身が黒ずくめのスーツで、何やら妖しげに会合している。
「これが現代の世界だ…………ガラ、ザイドス。」
言葉を発したのは、顰めっ面の男だった。下に見える幾つもの光を指していたのである。
「臭え…………臭えぜ。所詮、゙シュラ族゙が気づいた世界なんて、ゴミ同然だ………。」
ザイドスと呼ばれた男は、この風景に不満そうだった。不満というより、嫌悪しているような感じだ。
「ええ。だから、私達゙ゴーマ゙がこの地球を支配し、あるべき世界を作る……………よね、シャダム。」
ガラと呼ばれた女性はトランクを持っており、中からは紅色の光を取り出した。
そして、最初に言葉を発した男・シャダムはガラの言葉に頷いた。
3人は紅い光を軸に囲む。ガラが手を放しても紅い光は浮いており、3人は両手を伸ばして念じ始めた。
「さあ、我らゴーマの………………復活だッ!」
シャダムが言葉を発すると、紅い光は妖しげに輝きを増し、更に上空へと上昇し始めた。
光は球体にまで達すると、それに吸収されていく。球体の方は中心部分が門のように開くと、目玉が現れる。
それから幾つもの紅い光が放たれ、地上へ降り注いでいった。
ある廃棄処理所。壊れた車の上で、制服の少年はヨーヨー回しに興じている。
ふと上を見ると、紅い光が迫っていた。だが少年は慌てることはない。
やがて、光が少年に命中した。少年は苦しそうにもがき、頭を押さえている。
「が……………あ…………ううぅぅぅ……………トゥゥゥギャザアァァァァァ!!!」
少年の体は見る見るうちに奇怪な姿へと変貌していく。金色の紐が絡んだような上半身に、股間の盛り上がりがわかる下半身となっている。
左手は唇となっており、開くと蛇のように牙が生えている。頭部は輪のように紐が曲がっており、自転車用タイヤのスポークのように支えられており、中心には小さい目玉がある。
更に、胴から垂れ下がっている胸の先端には大きい目玉がキョロキョロと動いている。
「おおぉぉぉぉ……………6サウザンドイヤー振りのゲットアップだ…………。久々に腕が、いや、紐がサウンドするぅぅぅぅ………」
異形な紐の怪人は、全身から紐を伸ばし、そこら一帯へ張り巡らせる。
6000年という、長い眠りから醒めた反動だということだろう。
近くにいる猫や犬がその紐に巻かれると、ゴツッと音と共に動かなくなってしまった。
紐の怪人はそんなのは気にせず、闇夜の中で笑っているのだった。