わかりやすい。斬撃で切られた物体を辿れば、そこにたどり着くのだ。
ただ、敵も頭を使うはず。気配を読む。あらゆる波紋がある中で、1つだけ激しく波を立てる気配がある。



「……………上!」










゙パシィィィンッ゙!








金属音が鳴る。カタカタという、刀の震えが重みとしてホウオウレンジャーにのし掛かってきた。
紅葉色の鳥人。そう、バイラムの増援幹部であるアイリーンだ。
アイリーンはホウオウレンジャーから離れ、愛刀のセキラを鞘に納める。


「お久しぶりね、ホウオウレンジャー。」


「アイリーン………。どうして、あたしを狙うの?」


他のキッズ達といるときも、真司と会った時も、刃の向かう先には、自分がいた。
明らかに、自分を狙っている。


「あなたは私の刀を受け裁いた。あの高速剣に対応できたものは少ない………だから、剣士としてどちらが上か試したいのよ。」



「そんな…………」



「さあ、四の五の言わずに、死合ましょう。」


アイリーンは刀に手を置く。きっと、居合い斬りでくる。ホウオウレンジャーはグッと青龍月刀を構えた。
そして、アイリーンは手を動かす。途端に、ホウオウレンジャーのいたアスファルトの地面に斬った後が出来る。
剣のくる方向を予測し、移動すれば直接的に振られるにすぎないから避けるのは出来る。
ホウオウレンジャーは水平に刀を移動させる。アイリーンは素早く反応し、セキラをクルッと回して変えて峰で防御に入る。
そのまま勢いを殺させず、ワザと吹き飛ぶ。その後、着地した瞬間に壁を蹴り、翼を広げる。
滑空しながら、アイリーンはセキラを鞘へ。ホウオウレンジャーは右下へ刀を据える。


「゙ヴェルギ・デスパレード!!」


「天風星・゙凪羽(なぎはね)゙!!」



青龍月刀が右下から左上へ逆袈裟斬りを行うと、風が巻き上がった。鳥が羽で払うかのように、風がブアッと生じる。
アイリーンはそれで吹き飛ばされたが、既に放たれた幾数の斬撃がホウオウレンジャーに命中してしまう。


「キャァッ!!」


まるで乱れ斬り。ピンクのダイレンジャースーツに、不定の方向へ斬られた跡がある。


「………………あなたには才能がある。」


「!?」


アイリーンの言葉と同時に、2人共起き上がる。その時、ホウオウレンジャーは慌てて青龍月刀を構えた。


「……………構えは素人ね。あなたの剣ば脅え゙ているわ。」


「゙脅え゙………?」


「あなたには才能があるけど、基本や心構えが成ってないわ。戦士としては強いけど、剣士としての姿勢が定まってない。敵を斬ることを…………怖がってる。」