その花は空き地に向かっていて、正夫と優美は一緒に向かう。
そこには、ランドセルを側に少女が1人花を摘んでいた。
ショートの髪と、神秘的な雰囲気、そして美少女といえる顔立ち。正夫はボッと顔が赤くなってしまう。


「か、可愛い………」


「!。正夫は君って、ああいう子が好みなの?」


「ち、違うよ!」


思わず出た言葉から、優美にはある思い込みをさせてしまったようである。
だが、問題はそこではない。2人はその違和感に気づいてはいたのである。
少女はランドセルに襲われてないし、こんな一面の花に驚きもしない。何より、服装はまるで魔法少女とでもいうような派手なものだ。



「確か…………」












「あなた達、一緒に遊ばない?」








後ろから声が聞こえてくる。振り向くと、さっきの少女がいた。
もう一度空き地を見ても、少女の姿はない。見間違いじゃない。一瞬にして、自分達の後ろに移動したのである。



「あなたは…………確かバイラムの………」



「うん。あたし、ピケルっていうの。あなた達は、シシレンジャーとクジャクレンジャーだっけ?」


話していると、本当に普通の女の子だ。それ程凶悪でもなさそうである。


「さっきのランドセル、ランドセルジゲンじゃない?」


優美はピケルに問う。妙に古臭いランドセルだったし、ピケルが持っているとは考えにくい。
ピケルはにっこりと微笑みながら、指をクルクルと回す。それから、花に囲まれているランドセルに向かって、光を放った。
すると、ランドセルは浮き、肥大化しておぞましい姿を現す。ランドセルの表面に、尖った眼や牙の生えた口がある。
どうやら、ランドセルジゲンに間違いはないようだ。


「正夫君!」



「うん。」


『気力転身!!』



2人は転身し、ランドセルジゲンに向かって空き地を走っていく。
しかし、ピケルが再び指をクルクルと回し、一面に咲く花のすべてに光を放つ。
花はまるでラフレシアの如く巨大な花となり、根を伸ばしてきた。それはシシレンジャーとクジャクレンジャーに絡まっていく。


「ウッ………」


「これは………」


太い根になったせいか、、簡単には引きちぎれない。引きちぎったとしても、また新たに絡みついてくる。
その隙にランドセルジゲンは空き地から逃亡してしまう。しかも、まだまだ花は花弁を寄せ、閉じようとしている。
こちらを食べようとしてるのかもしれない。シシレンジャーは気力を込め、体から冷気を発していく。


「………霜氷星・゙樹白(じゅはく )゙!!」



気力技が発動されると、根から次々と凍り始め、やがてはすべてが氷結し、砕け散った。
霜氷星・゙樹白゙とは、シシレンジャーを軸に、敵を凍らせる必殺技である。この花のように巻き付いてきたり、長い体の敵に有効である。