゙ドゴオオォォン!!゙



その音で、コウは意識を覚醒させた。手を見ると、明らかに小さい。
しかも、この姿はリュウレンジャーだ。


「も、戻った?」


何とか、戻ってこれたらしい。


「あ、コウ君………良かった。」



振り向くと、ホウオウレンジャーが青龍月刀を握っている。本当に、戻ってこれたようだ。


「由貴ちゃん、僕は………?」


「カーボン次元獣・ソウルマンモスの精神干渉攻撃で、コウ君は心を破壊されかけてたって………」



どうやら、敵の攻撃で気絶してたようだ。なら、あの未来の光景は?
いや、今は敵を斃すのが先決だ。



「………ありがとう……由貴ちゃん………」



さっきも、同じ台詞を吐いた気がする。でも、今度は別れのための言葉じゃない。
リュウレンジャーは白虎真剣をグッと構え、気合いを入れる。



「みんな、離れて!!」


テンマレンジャー達は、もうソウルマンモスに多大なダメージを与えていた。
きっと、仕返ししたいのだろうと、言葉に従って下がっていく。



「ば、馬鹿な!俺様の精神干渉攻撃を自力で抜けるなんて………」



「こちとら、世界を護る覚悟なんでな………簡単にやられるわけにはいかないんだよ!」



白虎真剣の刀身から、徐々に炎が巻き上がっていく。巨大な火柱は、見る者を圧倒する大きさになった。
ここは人里離れている採掘場だ。被害は出ないだろう。
火柱が急激に小さくなり、白虎真剣に吸収されていく。最後は、刀身に纏う程度になってしまう。



「今から、お前に天火星の………四大奥義の一つをくらわしてやる!。」


リュウレンジャーは白虎真剣を持ち、飛び跳ねる。そして、刃先をソウルマンモスに向けた。


「天火星奥義…………゙龍刃灼火(りゅうじんじゃっか)゙!!」


奥義の名が叫ばれたら、一点に集まった炎が一気に放出される。それは、ただ火柱だけで灼くよりも遥かに強大な熱と炎を生み、ソウルマンモスを飲み込んだ。
まるで、巨大な龍のような姿にも見える爆炎で、ソウルマンモスは一片残らず消滅をする。しかも、採掘場の岩の殆どが黒こげになったのであった。













すべてが終わった後、コウと由貴は一緒に帰っていた。しかし、コウは1人で考えている。
ソウルマンモスの能力では、決して未来に精神を向かわせる力なんてないはず。
あれは夢だったのだろうか。あの後、パンプキン侯爵はどうなったんだろうか。
ため息をつきながら、不意にポケットに手を入れる。すると、何か感触があり、それを取り出してみた。


「これ………」


「それって、キャラメル?」



これは、未来世界で花音がくれたキャラメルだ。これを見た瞬間、信じれた。
パンプキン侯爵ば吼牙一閃゙で斃されたのだと。子ども達も助かり、平和が戻ったと。そして、あの世界のダイレンジャー達も運命と戦ってると。



「1つ、舐める?」


「いいの?ありがとう。」


未来味のキャラメルだ。何ら変わったことではない。だが、自分は自分で、未来を切り開いていく。
きっと、由貴となら、みんなとなら、もっと良い未来へと、歩みを向かわせることが出来る。
そう信じて、コウは由貴と笑いあうのだった。



つづく