「あたしには、そんな記憶ないなぁ………でも、昔思ったよ。」


「何を?」



「あたしもコウ君やお兄ちゃんみたいに、ダイレンジャーになりたいって。」


「…………。」



気力。それはダイ族の血統こそが持てる力。その力に最も助けられたのは、由貴で間違い無い。
ダイレンジャーの歴史を証明する人間として、相応しいだろう。
古来の戦いで活躍しだ大連者゙ではなく、今や゙ダイレンジャー゙はヒーローなのだから。
憧れなんだろう。自分だって、最初は優越感に浸った。みんなとは違い、力に溢れて、そんなヒーローになれたんだと。


「…………君はダイレンジャーじゃなかった……。でも、僕が知ってる由貴ちゃんは、ちゃんとヒーローだったよ。」


「コウ君……」


「だから、由貴ちゃんだって………。それに、由貴ちゃんには、由貴ちゃんにしか出来ないことがあるんだから。」


2人は異なる人生を歩んでる。決して、交わらない。
だからこそ、それぞれにしか出来ないことがある。何も、卑屈に必要なんてないのだ。



「そうだね、ありがとう♪。」


にぱっと、由貴の笑顔が視線を支配する。可愛い、可愛いすぎる。本当に天使としか言いようがない。
昼休みもあと少し。急いで食べて、教室へ戻っていった。












授業も終わり、帰宅時間に。正夫は予備校、健一はボクシングジムと、予定があるらしい。
由貴も中央委員会の仕事があると、帰りは遅れるらしい。そんなわけで、町子と一緒に帰ることになった。
これから町子も豆腐作りをしてるらしい。すっかり、看板娘といったところだ。



「なんかさぁ。」



「ん?」


「前はみんな一緒に帰ったり、遊んだりしたのにさ、すっかりバラバラだなぁって。」


「そりゃあ、高校生にもなれば、みんな自分のやることができるもの。自分で決めた、やりたい事をね。」


「自分で………。」


小学生は、いわば自由なんだ。幾らでも、好きにやっていた。
でも、大人になるにつれて、限定されてくる。それは無限の可能性の中から、自分が望む道を選ぶってことなんだ。
誰もが、そうなっていく。誰も蔑まないような、誇れる道を選んでいく。



「例え進む道が違っても、心は一緒ってことかな。」


「何それ?そんなカッコいい台詞、コウには似合わないよ。」


「えぇッ!?。そんなぁ………」


町子はこの時間軸の自分を見てきたのだ。さぞかしぐうたらな野郎だったんだろうと、コウは思った。
それなりに幸せな生活だったんだろうけど、自分ではないみたいに思える。
この時間軸のコウが経験したことは、彼が進んできた結果なのだから。自分はまだ選んでさえないし、味わってもない。