「……………なるほど、小学4年生までの記憶しかないと………」


引き上げられたコウは事情を説明する。わかってくれないと、更なる混乱を呼び起こしてしまう可能性がある。


「でも、体ばなんとなぐ覚えているんだ。携帯電話を持ってることも、生物のプリントを入れ忘れたことも!」


2人とも、首を傾げている。そりゃ、にわかには信じがたい話ではある。


「そ、そうだ!町子ちゃん、天時星の力で何とかならないかな?」


時間を操る力を司る天時星を使える町子なら、何とかできるかもしれない。
コウは顔を迫らせながら、町子の肩に手を置く。


「ねえ、町子ちゃん!」


「………………な、何を言ってるの?」


「え…………」


まるで、そんな事など知らないと言わんばかりの表情をしている。


「あたしがそれをやったのは、あのロウソク怪人の時だけじゃない………」



ロウソク怪人…………自分達の学芸会の時に出現したゴーマ怪人だ。あの時、自分以外ばまだ゙気力を使えなかった。
しかし、それからはバイラムの襲来で、異世界での戦いを経て、本物のダイレンジャーに劣らない気力と戦闘力を得たはずである。



「そんな…………これじゃ、まるで…………」




「ごめ~ん!」



またまた声がする。再三振り返ると、そこにはスマートな体型の少年が走ってきていた。
けれども、どこかで見たような顔だ。何か、一悶着ありそうな雰囲気。


「お、正夫。」


「ぅえ!?」



やはり正夫だった。驚かざるをえない。自分が知ってる正夫は、ややぽっちゃり気味だったのだが…………。
町子らは今までの経緯を説明してくれたようだが、正夫も首を傾げている。
どうやら、誰も自分達が戦っていた事を覚えちゃいないようだ。
というよりも、ダイレンジャーキッズであったこと自体が、゙無かっだと言わんばかりである。
そこで、コウはハッと気づく。そういえば、あの子の姿がないではないか。


「そういや、由貴ちゃんは?」


「由貴ちゃんなら、日直で先…………え?コウ!?」


先に登校してると聞くや、コウは走り出した。きっと、彼女ならわかってくれる…………かもしれない。
登校中の生徒や先生を飛び越し、校門を抜ける。生徒手帳には、Ⅰ―Bとあるので、4階へ向かう。
学年が大きくなるほど、下にいくらしい。階段を昇り、教室のドアに開いた。
ガラガラッと勢い良く開いた音に、中にいた少女は驚いて動作を止めた。