龍星王の脇を、気力の波が通過する。驚いて振り向くと、地面には大きな斬跡が残っていた。



「これは…………」



見返すと、リュウレンジャーが立っていた。ここは精神世界。思いが、現実として成立する世界だ。
思いが強ければ強いほど、それは精神世界で具現化されるのである。


「龍星王…………お前達が言うように、僕達は大変なことをしたのかもしれない。でも…………」



「……なんだ?…………」


「1人の命を助けれなかったら、世界を救えない!。僕らは、それを自分達で正義と信じて、選んだことなんだ!!」



由貴を生き返らせたのは、ある種のエゴに近い。それでも、助けたかった。
それが明日を切り開くことを、願って、選んだ道。


「僕らは世界も見捨てたりしない!守り抜くんだ!!。僕ら、みんなで!!」



あの時決めたことだから。何が起きても、自分達が何とかすると。
龍星王はニヤリと口元を緩めると、手に炎を宿す。


「…………その言葉………」



炎は棒状になり、やがて飛龍棍となった。龍星王の武器だ。そうなっても不思議ではない。



「嘘か真か、確かめさせてもらう!。真に世界を救いたいのであれば………」


「わかってる!力ずくでも、僕らの話を聞いてもらうぞ!!」


火山活動が一層激しくなる。煙が晴れるほどの衝撃波を放ち、2人は戦いを繰り広げる。
同様に、他のキッズ達も気伝獸を力ずくでの説得を試みるのであった。











巨大な桜が公園にある。普段見ているような街の風景。その中で、由貴と星鳳凰はベンチに座っていた。
そよ風が気持ちいい。蒸し暑いが、ここはずっと春みたいだ。星鳳凰にとっては、そんな時期が一番好きなのだろう。


「一回死んでみてさあ、由貴はどんな感じした?」


「!?」



星鳳凰はなぜこんな質問をしているのだろう。生き返ったことに反対ではないのだろうか。


「………あたしは………もっと生きたいって思ったの………」


「へえ?」


「こんな思いをするのはイヤだって、させるのもイヤだって。だから、あたしは生き返りたかった。それで、みんなの命を護りたいって思った。」


それが願いであると同時に、ただ1人生き返った者の責任でもあるから。
それについては、何の迷いもない。



「やっぱり、由貴はわかってるね。」


「あたしは?」


「他の子達はあと少し………あと少しでわかる。だから、龍星王達と戦ってるのよ。」