よく晴れた。窓から入ってくる光を見ればわかる。髪を束ねると、町子は朝食を食べに下に降りていく。
相変わらず父と母は豆腐を作っている。いつもと変わらず。
朝食を食べ終わると、ランドセルを背負って玄関を出る。父は町子を呼び止め、冷えたタオルを持たした。


「まだ暑いからな。」



「ありがと、お父ちゃん。」



「そういや、由貴ちゃんはまだ見つからないのか?」



ドキッとする言葉。そう、由貴は世間的にば行方不明゙となっている。
いいか悪いかはわからないが、ダイレンジャーであったことを秘匿するため、由貴の死は隠蔽されているのである。


「うん………」


「そうか………」



すると、道路だというのに父は町子を抱きしめた。言いたいことはわかる。
お前はいなくなるな。そう言いたいのだろう。








登校すると、クラスの雰囲気はおかしかった。いや、何もおかしいわけではないのだ。
みんな、暑さにだれている。この残暑だ。気にすることなんてない。
違和感を感じたのは、以前のような明るさがないからだ。前は意気揚々と、誰もが語り合うような4年3組だったのに。
由貴がいない。ただそれだけで、こうも変化してしまうのだ。




「みんな、席についてね。」


先生が来たので席に付く子供達。中にはアーミタイルによる゙ライフドレイン゙を受けて衰弱していた子もいるが、あれから1週間経てば、みんな普通に回復していた。




━━━━━━━━━━━━━━━ただ、2人を除いて。











「よっしゃァッ!僕の勝ちィッ!!」


余った揚げパンを獲得するコウ。ジャンケンで勝って、はしゃぐ。
そんなコウに違和感を感じていたのは町子だけではないだろう。
明るく振る舞いすぎている。眼前で由貴を喪ったのだ。一番辛いのはコウのはずなのに。






帰りになると、コウは真っ先に教室を出た。いつもなら、みんなで一緒に帰るか、雅之達も誘って野球やサッカーをするかなのに。
町子は急いで追い掛ける。このままじゃ、コウがどこかに行ってしまいそうで。
校門を出た所にコウはいた。町子はそれを見つけると、すぐに向かう。