まだ蝉の鳴き声も止まないくらいに暑い。それでも、子ども達は暦が9月を迎えたために、学校へ向かう。
とは言っても、最初は校長先生の挨拶と夏休みの宿題を提出するだけだ。
教室では、子供達が夏休みの思い出について語り合っている。
色々な所へ旅行した子もいれば、ゴロゴロしてた子だっている。ともかく、充実した夏休みを送っていたようだった。その中でも、ダイレンジャーキッズ達は充実しすぎる内容だ。
命を懸けた戦いを何度も繰り広げた。あまり歓迎されるべき体験ではないが。



午前11時頃には終わり、帰路についた。ワイワイ騒ぐ子供達の中で、コウだけはおぼつかない顔をしていた。


「……………。」



そんな様子に気づき、由貴は声をかけた。


「どうしたの?朝から、あんま元気ないね。」


「うん………なんか、変な夢見ちゃってさ。」



この話をするころには、キッズ達だけになっていたため、夢の内容を一部除いてみんなに話す。
自分達の世界にいたころ、薄々感づいてはいたが、コウはダイ族の母とゴーマの父の間に生まれた子だということも、明かした。
これをコウが話すのを躊躇った理由は、みんなが自分を嫌ってしまうと考えたからである。
憎むべきゴーマの血を引いてるのは、あまり歓迎されるべきではない。



「………でも、嫌だよな。僕がキッカケで始まったダイレンジャーキッズが、そいつがゴーマなんてさ………」



少し悲しげな表情をするコウ。それに対し、町子はバンッ、と頭を叩く。


「あんた、バカぁ?今更そんなんで、あたし達があんたを嫌うと思う?」

「!?」


「みんな、コウの事、気力を持ってるからとか、ダイレンジャーだったから友達なったわけじゃないじゃん。」



「そうだよ。僕がイジメられてて、助けてくれたのは気力とか関係なかったし。」


「俺も、コウの力とかは関係なく、一緒にバカやれる友達になれると思ったよ。」


「誰が何言ったって、コウ君はコウ君だよ。」



みんなの言葉は、コウの抱えていたものを軽くした。逆に、こんな事で疑った自分が恥ずかしいくらいだ。
こんなにも自分を信じてくれるみんなだから、自分だって友達としているんだから。
伏せた部分の、゙誰かが死ぬことになる゙。そんなことさせない。絶対に守り通す。ダイレンジャーキッズのメンバーも、ジェットマンも、ディメンシアも、誰も死なせはしない。