憎悪と悲哀。2つがラディゲの言葉に込められている。深い悲しみを、その中に含めて。




゙ビクンッ!゙



『!!?』



炎の中で蠢くモノがいた。そいつはさっきまでの原型を留めてはいない。
だが、燃え盛る炎を自ら吸収し始める。そして、さらに紅い、禍々しい存在へと昇華する。
頭部には角が生え、翼は肥大化し、腕や脚からは爪やヒレが伸びていった。



「な、何だ………?」



今度はキッズ達が驚く番だった。斃したはずなのに、そのセミマルが見るからに強化されている。


「ぐ………みんな、もう一度気力ボンバーだ!」

『うん!』


再び気功弾をセットし、セミマルに放つ。そのまま直撃し、セミマルは吼えた。



「グオオオッッ!!」


命中したものの、爆発が起こらない。そればかりか、気力ボンバーは小さくなっていく。
やがて、完全に消え去ってしまった。


「そんな………だったら……」



全員で白兵戦に挑む。飛びかかるも、セミマルはそれを読んでるかのように裁き、自らの爪で斬っていく。


「うわァッ!………炎上破!!」


リュウレンジャーの手から炎が放たれる。しかし、セミマルは口を開き、それを吸い取ってしまった。


「う、ウソ………」


そして、口から炎をリュウレンジャーに向かって吐き出す。それを受けたら、瞬時にわかった。
この熱さ、自分が放った炎上破そのもの。他にも、キッズ達が放った技が、鏡返しにあったかのようにハネ返されている。

「まるで、あたし達の攻撃を覚えたみたい……」

「え………!?あれは………」



挙げ句の果てには、気力ボンバーさえも溜めていた。それをキッズ達に向かって放つ。


『うわああああァァァッ!!』



強力である気力ボンバーによって、キッズ達は強制的に転身が解除されてしまった。
倒れて、体の痛みに野たれ回る。
そこでラディゲは確信した。セミマルの恐ろしさは、攻撃力ではなく、進化にあるのだと。
敗れても不死鳥の如く甦り、敵の攻撃を学習し、それを相手に返す。