帰り道、何だかんだで覗いても由貴は許して、コウと仲良く話している。
見ていると、いい感じになっている2人…………いや、由貴に対して抱いてしまう感情。それは友情をしても、誤魔化すことの出来ない。
由貴も、この感情は常に抱いているが、互いに知る由はない。知ってしまえば、今の関係が崩れてしまうような気がしてしまう。


「こっちの世界じゃ、宿泊学習はまだだよね。」

「そうだな。俺達は二重に楽しめるっていうのも、みんなに悪い気がするけど。」


健一と正夫の話が聞こえる。そうだ。まだこっちではやってないんだ。
そうしたら、また胸とかを気にしなくてはならない。


「場所は鎌倉じゃなくて、河口湖ってとこらしいよ。」


「あたし、富士山を生で見たことないんだ~。」


仲良さそうに話す2人。町子はコウの耳を引っ張った。


「いちちちち!。な、何するのさ?」


「あんたがスケベなこと考えてそうだったからよ!」


そこでドッと笑いが起きる。町子もプッと笑い、コウだけが痛い目を見ていた。



全員で商店街に向かい、パン屋で冷たいジュースと焼きたてパンをご馳走になる。
最近、パン屋の収入が減ったのもキッズ達のせいである。
あくまで、この世界における嘉挧の奥さんは、気前がいいせいか、常に出してくれるのだ。
対して、嘉挧はお金をとりたいものの、この世界では普通の人間を演じてるせいか逆らえない。