更に厄介なのは、強い力を有するヒビキは牛鬼の中でも伝説と呼ばれる漆黒の魔化魍、



゙牛鬼磨修羅王(マスラオ)゙


であるという。例え自殺わしても、牛鬼の状態で復活してしまうという。
進行の具合からして、清める以外に方法はない。それはヒビキを殺すことを意味している。
イブキやトドロキが心配する中、ヒビキは笑っていた。


「………頑張りすぎたのかね~。でもよ、俺は後悔してない。自分の選んだ道を生きてきたからな。」




自然発生のものは少なく、魔化魍の多くは最上位である童子と姫が発生させているのはわかっている。
奴らを斃せば、魔化魍は大幅に減少するだろう。それこそがヒビキの目標であった。


「俺がいなくなっても、お前たちがいる。そして、゙アイヅが俺の夢を継いでくれる。だから俺は、安心して今の俺を受け入れる事が出来るんだ。」


ヒビキの言っだアイヅが誰のことかはわからないが、一同はやりきれぬ思いを抱え、ヒビキ以外は八俣遠呂智の心臓を探しに出た。
京介だけはヒビキの思いに気づいた。゙アイヅは自分を言っているわけではない。そう、頭でわかってしまったのである。