雅人は不思議がっていた。今まで戦っていたのは復讐であり、自分のためであった。真理を守る時さえも憎悪が勝っていた。
オルフェノクを斃す。それこそが雅人の戦う目的。
でも、今は自分とは関係がほとんどない少女のために戦っていた。
雅人は思った。あれが、「守る」ということなのだと。
薄れゆく意識の中で、視線に飛び込んできたものは真理たちだった。由貴が連れてきたのである。
亮のお礼や、巧の心配などは聞くことなどできなかった。ただただ、意識を保とうと必死だった。
ギュッと真理が手を握り、雅人を呼びかける。その手の温かさは、幼い日に味ったものだった。
由貴の手で思い出し、再び真理の手で知ったはずのもの。




━━━━━━゙愛゙



自分が最も欲しかったのは、愛。自分にはないと思っていたもの。
だが、由貴を守ろうと思ったものが愛だとわかった。
涙を流す雅人。最後の力で握り返し、一番欲しかったものを手に入れたのである。
そして、誰よりも戦い続けた草加雅人は、静かに灰となった。
そこにはカイザギアが残されているだけ。それこそが、雅人の生きた証なのだ。


つづく