とりあえず五月の定休日の表示w
読書感想文
「黄色い家」 川上未映子著
貧困に苦しむ少女たちと彼女らを取り巻く大人たちの物語
とはいえ激しい暴力や性描写はほとんどないにもかかわらず
ここまで刹那的な気持ちにさせるのはやはり「お金」というテーマ
のなせる技なんだろうなと思います。
主人公花の金運上昇のために黄色いものを集めていく
そして手の中に入ったと思うとすり抜けていくお金に対する
心象風景が徐々にそして劇的に変わっていく様の
描き方は圧巻としか言いようがなく、川上さんの
代表作の一つ「夏物語」を思いだしてしまう。
僕は職業的に黄色といえば髪をブリーチしていっても
最後まで残る厄介な色でそれを薄めるために
補色の青紫を使う。
つまり僕ら理美容師にとって黄色と青紫はセットで
出てくる色だ。
だからこの小説が黄色を主題として描かれる中
左右を覚えられない黄美子さんの右手に刻まれた
刺青の色や桃子のクリスチャンラッセンの絵の色
琴美の痣など時折、でも確実に出てくる青黒い
色が作者の意図してしているものだろうと
気がつくことができた。
そして、たぶんその意味するところも。
川上未映子さんは元歌手で詩人で作家。
芥川賞も谷崎潤一郎賞も紫式部賞も受賞していて
天才の名をほしいままにしているのに
意志の強そうなボブが似合うその容姿も美しい。
今回の「黄色い家」本屋大賞6位ということらしいけど
既に世界各国から翻訳依頼がきていることからすると
「縮小していく出版業界を現場から盛り上げよう」
「たくさんの人に読んでもらえる本を探そう」
という本屋大賞の意義からすれば
本書の貢献度はダントツじゃないかと思います。
612ページ
妻はオーディブルで聞いてました。
13時間かかるらしいけど（笑）
