いよいよ明日はアカデミー賞ですね。


こちらでは数週間前から各メディアが盛り上がっています。


公式サイトでもカウントダウン!


http://oscar.go.com/


こういうサイトでノミネート作品をみながら予想を楽しむのもオツですね。




AVATARに関しては、ストーリーについては「うーん」という印象もあったけど、


一貫して「3D」を突き詰めた末に、これまでに無い体験を生み出したのは確か。


映画館で、何度もうなったもんな・・・


こういった領域は「お金さえかければできる」とは思えません。


そういう意味で、トジーンも盛大に評価しています。



あと、Avatarの音響はメタルギアソリッド4で一緒に仕事をさせてもらった


Christopher Boyes氏が担当!


Sound Editing部門にノミネートされているので応援しなければ!




「ゲーム」の方も「2010年発売の楽しみなゲーム」といった情報が!


http://www.gamespot.com/special_feature/most-anticipated-2010/


Peace Walkerもきっちり入ってますね!




ゲームも映画も、大作を作るのって難しくなっていると思います。


一時のゲーム業界のような、「どこもかしこも大作を仕掛けてくる」という


時代はちょっと特殊だったのでしょう。


業界が右肩上がりで、利益率が良くて・・・


「ともかく面白そう!」という心意気で仕掛ける事が許された時代。


情熱と品質メインで勝負する事が許された時代。


そんな時代に、かっこよくて、素晴らしい作品がたくさん生まれたように思います。




でも時代は流れ・・・


今は、「品質と収益性の両方」が問われる時代になったように思います。


ビジネスとしては、むしろこれが自然なのでしょう。


最近はゲームの製作費も半端じゃない。


利益が上がったところだけが、次の勝負に出られる。


だから今は、どこも利益率を厳しく考える必要があるのでしょう。




このように、より利益率を追求する中で、


最近の海外ゲームのように、


驚くほど早いペースで高品質の「シリーズ新作」が出るが増えたり


(共通エンジンや複数チーム化などの効率化努力)


「フェイスブックゲーム」や


「初期費用無料+オプション課金のオンラインゲーム」のように、


莫大な収益を生み出すゲームも出てきている。


(ビジネスモデルとしての企画開発)


「いかにすごいか、格好良いか」ではなく、


「いかに賢いか」といった流れに変わりつつある。




でもトジーンはゲームをこっちの方向だけに寄って欲しくはないんです。

 

「一作家が書く小説」のように、


または「チームで生き方を表現するバンド」のように、


売上でなく、まず表現ありきで作られる、


「作品」のための媒体としても続いて欲しいのです。



「とにかく楽しいゲーム」


「とにかく快適なゲーム」


「とにかくお得なゲーム」


これらはみな、それぞれに価値があると思います。


「うっかり夢中にさせられてしまうゲーム」


これも経済的に否定できないでしょう。




しかし、もうひとつ


作品としてのゲームの価値も忘れられないでいてほしいのです。


それは「作り手のきもち」が感じられるゲームです。

 

そして、


世の中すべてが、


単に、「統計的なコンピュータの計算」


「経済意志」の赴くままに進もうとする事に対し、


「人が」物を申すゲームです。




これから数年で、ゲームの形は相当変わるはずです。


すべてのゲームが「初期費用無料」になるのか、


「販売がすべてネット」になるのか、


据え置き型のゲーム機が「衰退」するのか、


「やりたいゲーム」から「やらざるをえないゲーム」に変わるのか、


それともみんなが再びときめくような「凄い物」になってゆくのか、


世の中の判断が下る時代だと思う。


この重要なジャッジを、すべて「経済判断」だけに持ってかれないように、


「意志ある人間」が戦う必要があると思っています。





ちなみにトジーンもオーディオのディレクターではありますが、


自身も表現者のつもりで音を作っています。


オーディオ担当は直接生き方を語る位置ではありませんが、、


自分にしか作る事のできない感動なら作る事ができます。




その作品が描こうとする世界を理解した上で、どう演出するか、


そういった範囲では、存分に自己表現をすべきだと考えています。




自分にしかひらめかない、音演出、しかけ、アイデアを考えるのです。


「このチームにトジーンあり」と、


ディレクターに、チームに、お客さんに、語りかけるのです。


みんなが予想している音では高品質でもつまらない。


毎回トジーンならではのアイデアを仕掛ける。


これは僕が業界に入ってから、ずっとこだわり続けてきた事。


ゆずらない事。


僕の最大の魅力であり、最大の欠点かもしれない。




よく「仕掛けの必要性」を新しいサウンドディレクターさんに説明するときに、


どんなプロジェクトでも、ユーザーさんが「!」と思う何かを、


自分で考えて入れよう。


例えば、もし時間もお金も無くて、間に合わせるのがやっとのプロジェクトなら、


主人公が「2時間に1度だけおならをする」でもいい。w


何も仕掛けないより10倍いい。


君が考えて「おなら」をいれたなら、それは君が担当したから入った音。


ユーザーさんにとっても、チームにとっても、


君が担当した意味が出てくる。


と言っていました。




勿論、ただ目立とうと、作品の描く方向性を無視しては最悪ですので、


実際には作品が描きたい方向をどれだけ理解しているかが問われます。


ディレクターのOKがとれるアイデアでなければならない。



しかし、


「その企画を読んで誰もがイメージする音」


または「お金をかけてハリウッドに頼めば出来てしまう音」


「大作のパーツとして、事故だけは起こさないように・・・」


数年間命を削るのに、はじめからそんなところを目指すのでは


あまりにしんどい仕事になってしまう。




なので、トジーンはこれからも、


クリエイターとして、「自分にしか作れない音」


にこだわっていくつもりです!




でも正直・・・・


自分のクリエイターとしての価値は自分で全然わからないんです。


これまで関わってきたサウンドは、世界から評価を受けました。


オーディオアワードもたくさんもらった。


時には、


「がっはっは!自分より凄いゲームサウンドを作れる奴はいないはずだ!」


くらい強気に思うのですが、一方で


「タイトルにめぐまれ、チームに恵まれて今の自分があるだけで、


自分には本当はなんの能力も無いのかも・・・」


と思う事も多々あります。


どちらの気持ちが正しいのか、それはほんとに自分では解りません。




頼もしい仲間たちの元を離れ、


ここらでもういっちょ、自分の力を確かめたい!


それもトジーンがアメリカに来た理由のひとつです。




・・・と、トジーンはこんなに硬派な思いにふけっているのに、


戸島壮太郎を書いてくれているwikiによると、




「ハハハ」という笑い声が異様に面白い・・・


「おいしいツーハン生活」の作詞で有名・・・






いやー、まーええけど・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


と、熱く書いてきたのに、最後はオチで終わってしまった。w