灯台*10/3
まだまだカスカイス行きのバスまで時間があったので
ぶらりと丘をのぼり、断崖にぽつんと建つ灯台までやってきた。
どこにも人がいないので入っていいのかもよくわからなかったのだけれど
「ようこそ!」と言わんばかりにかわいらしい赤い門が開いていたので、思い切って入ってみた。
小さいけれど赤とクリーム色のあたたかい配色でまとめられたセンスのいい灯台だ。
さて中に入って気付いたのだけれど、先客でどこぞの国のカップルがいて、なにやらヒソヒソと密談中。
プロポーズでもしていたら大変といそいそと2人から離れた。
こんな最果ての地でプロポーズ、
なんて素敵なのだろう、うっとりしてしまう。
実はこの灯台、ロカ岬を見渡すことのできる最高のポジションで
うっすらと植物で彩られた、まるで絵画のような岬の風景を楽しむことができた。
またしても心が無になってしまう。
大西洋と空と岬の風景、ほんとうに、ほんとうに、
灯台での風景を楽しんでいると、少しずつ日が傾きはじめた。
少し夕日らしくなってきた太陽を浴びて、岬の植物たちは少し色味を増したように思う。
少しだけピンク色になりはじめた空。
バスの時刻が近づいてきた。
どうやら日が沈むところは拝めそうにない、まだまだ空は明るいから。
灯台の壁から少しだけ覗くカモンイスの石碑、
こうして見ると、やっぱりヨーロッパの風景だ。
白い壁と大西洋。
灯台を去る際、先ほどの観光客らしきカップルたちはまだ密談中だった。
どうか彼らが乗るであろう最終バスの時刻までには日が暮れて、
美しい夕焼けをあの2人のプロポーズの思い出に付け加えられるようにと少しだけ思いながら、
バスに乗る前にもう一度だけ最西端に行っておこうと、わたしたちはふたたび海へと歩き出した。



