過酷な1本道
登り始め、麓から見ると、とてもなだらか山に見える。
そしてスタート地点は実際なだらかだったため、まだ元気。
颯爽と歩くわたし。
ふう、まあまあ歩いたかな、と思って下を見るとこんな感じ。
こんなにも一本道。
なかなか山道を迂回もせずに1本道で登る機会はない。
ああもう下の人があんなに小さく見える。
しかし上を見るとまだまだまだまだ先は長い。
しかしこの線路のような道、いったいいつどのようにして、作られたのだろうか。
数歩登っては後ろを振り向く。
高さをどんどん増すごとに、想像以上の美しい世界が広がる。
干からびたさやえんどうのような植物。
青い空にこんな植物の風景が広がると、なにか南米にでもきてしまったような錯覚におちいる。
さて、だいぶ歩いたはずなのだが、体力ばかりを消耗して、なかなかに頂上は遠い。
とうとう元気もなくなってきて、水分補給の休憩中。
だいぶぐったりしてきたわたしを隠し撮るタグさん。
いじけているわけではないのです。疲れているのです。
それにしたって、こうしてみる向こう側の光景はやっぱり美しいし、感動がつづく。
さてさて、道中の一本道は、登る人、下る人とで道の譲り合いなどしたりしてそれなりに交流があっておもしろい。行きかう人々はさまざまで、軽く運動しにきた雰囲気でささーっと登っていってしまう慣れた人や、
トレーニングを行っている人なんて走って登って下りていって度肝を抜かれた。
穴場な場所だけあって、日本人はほとんどいなかった。
わたしたちを追い越していった犬とお兄さん。
元気にわたしの横を駆け上っていった犬が、次に見たときにはお兄さんに抱きかかえられているものだから
「ああ、あの犬とうとうへばったか」
とタグさんと2人で犬をバカにして笑っていたのだが、それはとんでもない間違いだった。
なんとこれは下調べ不足(というか情報がそもそも少ない)だったが
この一本道の山道には、一つとても危険な箇所がある!
これはぜひ、今後行く人のためにも、ここに書きとめておきたいのだが
途中で本当のアドベンチャー的な箇所があるのだ!!!
ここは勇気とバランス感覚がためされる。
なんと、それまで山道だったのに、崖の上を渡らなければいけないのだ。
実際のところ、崖というとかなり大げさで、ちょっとした溝の上にかかった線路を渡るような感覚なのであるが
本当におそろしい。
何しろ上にかかった線路の枕木がボロボロで、割れかねない。
先ほど指をさして笑ってしまった犬は、この枕木の間から落ちないようにと
お兄さんが抱えて渡ったのだった。
そしてこのお兄さん、つわもので、普通こんなところを犬をかかえて登れはしない!
それなりに、おそろしい傾斜もついているのだ。
おそろしすぎて、先に進むのをやめようかと思ったけれど、タグさんが行ってしまったので
わたしも勇気を振り絞ってみることに。
しかし勇気のかけらもないわたしは、犬のように四つん這いになってなんとか登ることができた。
注意しておくが、四つん這いになってもおそろしいところである。
ただし、わたしたち以外は、誰も四つん這いになって登ってなどいなかった。
(タグさんでさえ、帰りはタタタっと勇気を振り絞って立ったまま下りていってしまった)
この照りつける日差しによって、線路の鉄は相当な暑さに。
でも落ちるぐらいなら熱い鉄をつかんだほうがまだまし!
というわけで、火傷しかけてなんとか登りきることができた。
そして下りになってわたしたちが知った衝撃の事実。
この危険な箇所、迂回路がある。
なんと衝撃的な!
そんな看板なぞ一切ないし。
ちなみになぜ知ったかと言うと、帰りに四つん這いになりながら必死の思いで渡っているときに
上からアメリカ人のおじさんに言われたから。
もう少し早く言ってくれれば・・・。
複雑な思いで犬のように四つん這いになりながら橋を渡る。
さて登りはじめて45分ほどして、ようやく頂上が近づいてきた。
ちなみにこうやってみるとゆるやかに見えるけれど
相当にきつい坂なのだ。
階段の一段が高いのである。
アメリカ人サイズなのだろうか。
たくさんの人に追い越されていく。
ただし皆フレンドリーで、へばっていると何か声をかけてくれる。
最初はあんなに元気だったというのに、今や疲れ果て、こんなになってしまったわたし。
ここからはとても長く感じた。
10段あがっては座って水分補給、を繰り返した。
ちょうどどこかの国のカップルたちも同じように苦しんでいて。
抜きつ抜かれつ、たしか最後は抜かれて
ちなみにこのあたりで確かわたしの500ミリリットルのペットボトルは空になった。
この山を登る際には必ず水を持ってこないとならない。
なぜなら自動販売機といったものは一切ないからだ。
水を持ってこないと命にかかわる。これは本当。
ぜひ、気をつけてもらいたい。
しかも1本では足りないから、行きと帰り用に2本あるのがベストだと思う。
しかし残念ながらわたしは一本しか持ってこなかったため
この先タグさんに助けてもらうこととなる。
さて頂上間近、疲れ果てながら、後ろを振り返って見えた風景。
ああ、これを見るために、わたしはここまでやってきたんだな、と
ふっと気持ちが軽くなった。
わたしたちは頂上の土を踏みしめた。








