特注品。「材料編」 | 長楽未央「楽しみの盆栽」

特注品。「材料編」

今日は暑かったです。ガーン汗

 

夏日になった所も多かったようですね。えっ

 

 

 

先日、ご紹介した花梨卓の続きです。

名工がなす、

繊細で精巧な作りの粋で洒落た卓です。!!

 

そんな名人芸が際立った作りとは違う

最大の見所は

特注品が故の材料です。ビックリマーク

 

 

天板の写真です。

 

どうですか。!?

 

希少で高価な材料です。!!

 

特別な違いがわかりますか。はてなマークにひひ

 

では、

 

違う角度から天板を見てみましょう。ビックリマーク

 

 

これでわかると思います。

 

恰も「光を受けて輝く、さざ波の様な美しい杢目」です。!!

 

ここで余談ですが

もくめと言っても「木目」と「杢目」があります。

 

この違いがわかりますか。はてなマーク

 

「木目」とは年輪をさすそうで

「杢目」は模様の事だそうです。にひひ

 

 

 

魅力的な美しい杢目ですが、

この杢目の事を「虎杢(とらもく)」と言います。

 

字の如く虎の模様に見える事から名付けられたそうです。

 

この虎杢は稀少で高価な木材となり、

ヴァイオリンや高級家具などにも使われるそうです。

 

そんな材料を

通常、盆栽卓に使用する事はまずありません。

 

しかしながら、

私自身この材料を使用して制作された卓を

過去に三度程見たことがあります。

 

その卓は盆栽界でも有名な名工が手掛けた卓で

どの卓も著名な方の特注品でした。

 

それはそれは見事な作品でした。

 

 

今回の卓も落款が入っていませんが

名工が手掛けた特注品です。!!

 

作家と呼ばれる人に共通すると思うのですが

通常、制作する際の材料は自費で

制作期間の収入はありません。

 

その作品が完成し、

購入して頂いてこそ

材料費と制作期間の日当が収入となります。

 

金銭的に余裕がある方や

著名な作家の方であればそうでもないのでしょうが

いつ売れるかわからない作品であれば

持ちだしである材料費や制作期間などの原価は

余り掛けれないのが現状だと思います。

 

作家の誰しもが満足のいく高価な材料を用い

手間暇を惜しまない作品を作りたいのはやまやまですが

そうはいかない現実との葛藤で悩むことも多いと思います。

 

 

盆栽鉢作家で有名な「東福寺」もその一人です。

 

貧しい生活の中で作陶し、

大半が生業の為の作品だったと思います。

 

実際、当園の先代(父)が修行時代に

修行先であった盆栽園に

東福寺自身が沢山の鉢を売りに来ていたそうです。

 

それらの鉢は使い鉢として棚下に置かれていた様です。

 

先ほど述べましたとおり、

東福寺も原価を抑える為に

その時々で様々な土を使い、

他作家が焼成する際に空いたスペースへ

置かせてもらった経緯からも

小さい鉢が多かった由縁だと聞きます。

 

しかし、

現在、東福寺の評価は非常に高いです。

 

名品と呼ばれる作品は見事で

使用している土も出来栄えも素晴らしいです。

 

大半の作品を見る限り、

名品が本人の作品なのか

疑問に思うほど出来栄えに雲泥の差があります。

 

では、

なぜ、それほどまでに差があるのでしょうか。はてなマーク

 

それは

注文による特注品か

そうでないかの差なのです。ビックリマーク

 

注文品であれば

原価も手間暇も掛けれたという事と

東福寺自身が好きで盆栽鉢を作陶していた事もあり、

おそらく採算度返しで

思い存分作陶した結果だったからだと思います。

 

私自身も少なからずそんな気持ちはわかります。

 

話しがずれましたが要するに

特注品は特別だという事です。!!

 

 

この卓も特注品です。!!

 

 

ですから

希少で高価な虎杢を使用しているのです。

 

 

造形的にも

通常の卓よりも線が細く作られているのも

注文主の意向だと思います。

 

 

通常、卓に虎杢を使用しないのは

希少で高価であると言うだけではなく、

脇役である卓が派手で見応えがあると

飾った物を引立てず

卓ばかりが目立ってしまうと考えられるからです。

 

 

しかし

見る角度では虎杢があまり目立ちません。

同じ天板だと思えませんよね。

 

 

裏側です。

 

 

違う角度から。

 

見る角度で違う模様に見えます。ビックリマーク

 

 

実際は卓に使用しても、

それほど派手にはならないのです。ビックリマーク

 

物を飾って使用した場合も

近くによって卓を覗き込まない限り、

虎杢である事もわからないかも知れません。

 

近くによって虎杢である事がわかった時の

演出は格別です。ビックリマークにひひ

 

気が付く人は気付き、

そうでない人はわからない、

そんなところも粋で洒落ています。ビックリマークにひひ

 

 

 

一見すると細身の卓で控えめな印象から

飾る物を引き立て、

 

よく見ると特別な模様の虎杢が見所となり、

脇役となっていた卓が

一瞬にして主役ともなりえる魅力となり、

名脇役から主役までこなす作品となります。!!

 

希少で高価な虎杢を用いた素晴らしい特注品の

「花梨虎杢甲玉透卓」でした。!!