特注品。「技術編」 | 長楽未央「楽しみの盆栽」

特注品。「技術編」

昨日は母の日でしたね。にひひ

 

先日、同業者の所に行ったのですが、

そこでは、発送の品物で大忙しでした。

 

店の外では大きなトラックで宅配業者が

品物を次から次へと積んでいます。

 

何事かと思えば、

母の日のプレゼントで注文を受けた盆栽だそうです。

 

毎年、母の日、父の日は注文が殺到して大変だそうです。

 

そんな日のプレゼントとして

盆栽が売れるんですね。えっ

 

当園では

そんなイベント事とは疎遠ですのでびっくりです。

 

確かに、

本格的な盆栽というよりは

おしゃれな盆栽というような物ですがすごいですね。にひひ

 

 

 

希少で高価な材料を使用した出来栄えの良い

特注品です。!!

全体的に細身な作りでスッキリとした印象の卓です。

 

繊細で精巧な作りが見事です。ビックリマーク

 

粋で洒落た印象の要因となっている、

細身の作りですが

そうする事で卓自体が主張せず、

飾る物を引き立てます。

 

さながら脇役に徹する様な存在です。

 

実際、展示会や席飾りに用いる時は

やはり卓の上に置いたものが主役となります。

 

しかし、

唯単に細く作れば主役を引き立てる

名脇役になる訳ではありません。

 

細くするといっても、

足の細さから天板の薄さにあわせて

高さや奥行き、間口などの

全体的なバランスをとるのが難しくなります。

 

一つでもバランスが欠けてしまうと

間の抜けた締まりのない印象になってしまいます。

 

それに加え物理的な制作も難しくなります。

 

 

なにより品物を置いた時の

耐久性を考慮しないといけません。

 

当然、細く作ると比例して耐久性は下がります。

 

その耐久性を補うには

“どうすればいいか”が課題となります。

 

その対策の一つとして

細くしても硬い材料を使えば補えます。

 

今回の材料は“唐木”と呼ばれる硬い花梨です。

 

しかし、

硬い材料を使うデメリットとして

卓の制作が難しくなる上に

一枚一枚の板としては硬くて強度があっても

卓としては、それたけで十分とは言えません。

 

 

通常通りの制作方法として、

この卓も足板が二枚、

天板が一枚の合計三枚で造形されています。

 

ですので

一枚一枚の板が硬くても繫ぎ目で強度が落ちます。

 

薄く硬い板を用いると繋ぐ事すらも難しくなります。

 

造形的な美しさと物理的な耐久性は反比例します。ビックリマーク

 

 

ここで一つ提案です。にひひ

 

耐久性的に繋ぎ合わせて制作するのが難しいのであれば

塊を刳り貫いて作れば良いのでは。!?

 

確かに一理あります。ビックリマーク

 

しかし、

塊から刳り貫いて制作すると、

材料費が高額になる上、

希少な材料の無駄使いにもなりますし、

削るというより剥ぎ取ると称される程硬い唐木を

刳り貫くのは困難になります。

 

例え制作したとしても

卓としての宿命である

乾燥などの

“ひび割れや狂い(反ったり曲がったるする)”が出る確率が

非常に高くなります。

 

その点からも

従来通り三枚板で繋ぎ合わせる方法が

材料的にも手間暇も掛からず良いのです。

 

 

 

前置きが長くなりましたが

硬く加工が困難な木材でありながら

薄い作りで強度を保つ繫ぎ合わせが

技術を要するポイントとなります。ビックリマーク

 

 

その重要となる繫ぎ目です。

 

若干ですが、木目と色が違う境目がわかるでしょうか。

 

どうです。にひひ

 

寸分の狂いも隙間もありませんよね。ビックリマーク

 

これこそが名人芸なのです。!!

 

繋ぐと言っても

単純に接着剤で付けた訳ではなく、

強度を保つために組み込んでいるんですよ。

 

 

厚さが1cm程の硬い唐木を寸分の狂いもなく

組み込むのは至難の技です。!!

 

 

名工の技が冴えわたる作りですが

この卓の最大の見所は他にあります。ビックリマーク

 

この続きは次回に。ビックリマークにひひ