「動くんですよ!気がついたら、腕が普通に使えてるんですよ!魔法みたい!!」


 *


「右腕が麻痺した感じ。腕は上がらないし、物なんか持てない。着替えもままならない……」


三週間前、つぶやく彼(71)の落胆は、みていられないほどだった。


「一年前ぐらいにMRI撮って『頚椎症 c4、5高度狭窄症』と言われていたんだけど。他の病気が見つかってねぇ。

その治療を優先していたら、腕が動かなくなってきてねぇ……」


「手術しかない。と言われているんだけど、絶対に治るとは限らない、とも言われていて、迷ってここに来ました。」


さぁ、来ました!難題(^^)

でも、ここ太陽庵では良くあること。どこにも匙を投げられた状態から、ウチの初診ははじまるのだから。


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身体をみせてもらうと、胸椎の歪みが激しい。まずはそこから手をつけてみる。


腰周りをゆるめ、

背筋の緊張を解除し、

背骨、特に胸椎の配列を正しくさせる。


胸椎の前弯が治ると、つられて頚椎は伸びてまっすぐになる。『土台を正せば、屋根直る』の例え通り。


形は良くなった。


この矯正は、ある簡単な道具(通販で¥3,500ぐらい)を買って貰えば、自宅でもできる。


まずは三週間、自力整体で過ごしてもらう事にして、第一回整體指導が修了。


一週間経ち、メールで経過報告あり。


「驚くほど良く腕が動きます。ありがとうございます♪」


今日は、約束の三週間目の整體指導。


顔はニコニコ、腕を自慢げに動かしながら、


「ほら!こんなに、こんなに!」


良かった〜。ホッとするけど、こんなに嬉しそうな顔を見れる幸せは、何度経験しても新鮮に感動する。


「いつも行っていた整形外科医に見放されました、『もう、来なくて良い』と言われて^_^。」

「こんなに動く首と腕を診て、『手術しないなら、もう来なくて良いな』と^_^」


良い結果と良い意味で見放されたのだと、私達は理解することにして。

今まで麻痺して落ちてしまった筋肉を取り戻すためのリハビリ、筋トレに、大手を振って進む事を喜び合って、二度目の整體指導を終えた。


帰って行く後ろ姿が弾んで見えたのは、気のせいだろうか……