武蔵野台地北部の水みちと武蔵野線 | 武蔵野台地調査隊

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武蔵野台地の湧水と北アルプス中心の登山日記です



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先日の窪地がたくさん見える地形図と紹介した数値標高マップを見ていて、武蔵野線の新小平駅付近が窪地であることが目に留まりました。そこで、窪地の連続性から水みちを推定し記入してみました。

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以前にご紹介した水みちマップと比べても似かよっています。

さいかち窪などは、小平方面からの水みちが見えてきます。これは、地下に武蔵野礫層があり、地下河川のように水を運んで来ていると思われます。武蔵野礫層自体はかつての多摩川が流れた後であり、その後箱根や富士山の火山灰が堆積したいわゆるローム層に覆われているわけです。
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このマップはかなり前に作成したもので、現代のように宅地造成がなされる以前の地形が示されている戦前の地図に手を加えています。

ここで、武蔵野線新小平駅付近を拡大してみます。
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新小平駅は石塔が窪付近に位置しています。この駅は掘割り形式でつくられており、コンクリートの壁で支えていますが、背後には武蔵野礫層があります。先日も書きましたが、1991年秋に台風などに伴う大量の降水により、地下水位が異常に上昇し出水災害が起きました。
この付近は西から東に緩やかに傾斜していて、地下水も西から東に流れていると考えられます。武蔵野線はこの流れを地下でせき止めるようになってしまっているようです。地下河川にコンクリートの堰があるような状態です。
土木工学社の「トンネルと地下」という専門誌があり、JR東の金子静夫さんらのレポートに新小平駅の地層断面図が掲載されていました。

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「武蔵野線新小平駅災害復旧工事」トンネルと地下1992年8月号

さいかち窪と同様に地表はローム層で覆われていますが、その下には武蔵野礫層が約12m堆積しています。ピンク色は粘土層で水を通しません。91年の大出水の際にはこの中の地下水位が数ヶ月で9mも上昇し、駅部のコンクリートが水中に置かれたような状態となりました。図中に10/28の地下水位が示されています。このため、浮力が作用し、最大1.3mも持ち上がったため、壁の継ぎ目が開口し、駅内部に地下水位が入り込んだそうです。復旧工事の際には地下水をくみ上げて、野川や空堀川に排水したそうです。へーって感じですよね。

新小平駅は2つのトンネルの中間にあります。トンネルに入ってからも周囲からは地下水が入って来ない構造なんだそうですから、水は新小平駅に集まったんでしょうね。

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話はオオカミ窪に移ります。
武蔵野線はオオカミ窪のはずれを通過しているように見えます。拙者は長年、武蔵野線のトンネルがオオカミ窪を枯らせたのではないかと、疑いを掛けていたのですが、トンネルに地下水が流れ込まない構造ならば飛んだ濡れ衣をかけてしまいました。ただし、水みちをせき止めるので、下流に流れる地下水が減ることにはなります。
この件については更にとても面白い話があるので現地を見てからまた報告します。
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