昨日、桑原裕子さんの作演出「たわごと」を見てきた。
 
震えるほど、熟成された作品だったと思う。
渡辺いっけいさんが「長男」だけど、
長男、じゃない。大人、じゃない。
需(もとむ)、という人間がそこに立っている。
あれえ、こういう人、いるなあ。って思った。
その自分の圏内加減と、その色合いが、すごく良かった。
この作品自体
スタンダードな戯曲と同列にいるように思ってすごいと思ったんだけど
(それは舞台が古びた洋館だということや、時代背景なども意識されない作りだったことも
関係あるだろう)
私は今まで有名な戯曲を舞台で見たときは
登場人物が「長男」「オトナ」など、カギカッコつきで見えたんだけど
今回のいっけいさんは、そうやって見えなかったのが、
私にはすごいと思えた。
 
色んなことが、書きたいけど、まだ上演中だし
いろんな人に見に行ってほしい。
でも昨日この作品を観て
激しく揺さぶられた自分に
正直落ち込んだ。
本当に揺さぶられたんだ。
昨日は一日、この芝居のことだけ考えていたかった。
日常に戻ろうとして、戻れなくて
家の仕事できなくて。
帰りの自転車で、心によゆうがなかったのかな、
悪い運転もしちゃったし。
「おりこうさん」でいられなかった自分に
落ち込んだ。
もう芝居、観に行っちゃダメかなって、思った。
本気で。
 
でも、今日、朝日新聞の夕刊に
「たわごと」の記事が載っていた。
それを観て、
やっぱり、観に行って良かった、と思いたい、と思った。
 
ひどい刺激。
悪いことしちゃいそうになる。
でも、この作品のラストは、悪くないよ。
 
素晴らしい舞台を見せてくださり
キャスト、スタッフ、桑原さん
本当に有難うございました。