緊急事態宣言により外出もろくにできない5月上旬。私たち夫婦は「桃太郎電鉄」を買った。

 

桃鉄について、私は大学時代友人宅で1,2回だけやった程度、妻は初めて。なので、最初は設定を10年にして、私は妻に、サイコロを振って目的地に進んでいくことや、目的地から遠いと貧乏神がつくこと、貧乏神がキングボンビーになると一気に破産することなどを説明しながら遊んだ。


10年設定でプレイした際の相手コンピューターがあまりにも弱かったため、次はコンピューターを中くらいのレベルにして30年に設定。私は妻に貧乏神がつかないように立ち回り、私が1位で妻が2位という状況を作り出していった。


桃太郎電鉄というゲームは、現実の資本主義社会と同様に、基本的には金持ちがよりお金を稼げるような仕組みになっている。一方で、借金まみれになると救済措置がとられるなど、ゲームバランスを保つ工夫がいくつかある。キングボンビーもその一つで、勝っている側もうっかりすると一気に借金を背負うことになる。


とはいえ、妻にキングボンビーをつけてしまうのはまずい。私は自分の身を守りながら妻をキングボンビーから守る。

少しすると妻もだんだん立ち回りがうまくなっていく。そうなってくると、私と妻だけ利益をかせぐ構図になり、地上の物件はすべて私と妻のものになる。

そうなったときに思うのだ。

 

(・・・あれ?

これだと、つまらなくない・・・?

ただ物件を2人で買いまくるだけのゲームになってない?)


そして脳内の悪魔が言う。


(そうだよ。その通りだよ。その豪速球カードで奥さんのカードを割っちゃえよ。)


 そして、3時間後。

 

私の所持金は赤字になり、売価可能な物件を全部売り払っていた。

悪役にもなれず、ゲームバランスを考えてオロオロしていた折、キングボンビーがついてしまい振り切れず、失墜。

妻は優位を確実にし、私は中途半端な2位。

 

そうして、私は思ったのだ。

自分も勝って、妻も勝たせる。そんなことはできない。

逆に、自分が勝って、妻の機嫌を損ねる、そういうわけにもいかない。


妻を勝たせて、自分はパッパラパーになる。道化になる。

これしかない。

 

昔のドラマで初老の芸能マネージャーが言っていたことを思い出す。

「注文にこたえるのは一流の仕事。ベストを尽くすのは二流の仕事。我々のような三流は、明るく楽しくお仕事をすればいいの」


わたしが一流の桃鉄プレイヤーになる日は来るのだろうか?