認知症の症状の一つに
『感情失禁』というのがある。
いつもは穏やかな人が
何かをきっかけに
怒り出したり
暴力的になったりする。
介護者は面食らってしまうが
本人はすぐに
忘れてしまう。
一時的にでも傷つけられた介護者は
『100分の1の法則』で
なかなか忘れられない。
『100分の1の法則』とは
橘玲氏の著書に書いてあったもので
加害は100分の1に
被害は100倍に評価する
というもの。
つまり
自分が加害者であった場合
その影響は小さく見積もりがちで
被害者であった場合
その影響を大きく感じてしまう傾向がある
ということ。
ましてや介護者は
ケアをしてあげている
という自負がある。
これは当然である。
暴力を振るわれる謂れは
ないのだ。
理不尽である。
その気持ちが尚更
腹立たしさを助長する。
そんなわけで
認知症の介護者は
多大なストレスに日夜晒されている。
私も介護職をやっている時
酷い目に遭った。
これが介護者としての試練か‥
と思った。
身内であれば
尚のこと辛い。
被介護者が加害者になった時
それはその人ではない。
認知症の症状が
そうさせているのである。
「病気を憎んで人を憎まず」
そううまく感情の整理ができれば
良いのだが。
困った時に助け合うのが家族だ
と思う。
他人には頼めないことでも
家族なら
頼めることも多い。
しかし
近しい関係だからこそ
激しく憎しみ合う場合もある。
介護者が「もうダメ」
と思う前に
施設の検討をするのが賢明だろう。
家族の関係を良好に保つためには
距離感が重要だ。
恨み辛みの残る介護は
家族全員が
不幸になってしまう。
誰もが歳をとり
誰でも認知症になる可能性がある。
そうなった場合の身の振り方、
今のうちに考えておきたい。