涅槃会はお釈迦さまが今から約2500年前に亡くなったことにちなんで行われている行事です。

お釈迦さまが悟りを開き、人々に教えを説かなければ仏教は存在しませんでした。
そして、私たち仏教徒も存在しませんでした。私たちが仏教を信仰できるありがたさを伝えるために「涅槃会（ねはんえ）」を毎年行っています。

お釈迦さまの臨終の様子を描いたものが涅槃図です。

涅槃図に描かれている内容を知ってもらい、お釈迦さまのことを身近に感じてもらおうというのが、涅槃図の絵解きのねらいです。

「北枕」や「末期の水」の謂われなど、お通夜や葬儀で体験する内容は身を乗り出して
聞いておられました。
お釈迦さまが北枕にして亡くなったので、私たちもお釈迦さまのように通夜ではご遺体を北枕にするのです。

また、臨終に際してお釈迦さまが「水が飲みたい」と所望されたけれども、川の水が濁っていて飲めませんでした。

にもかかわらずお釈迦さまが三度まで水を所望されたので、川を見に行くと不思議なことに水がきれいに澄んでいてお釈迦さまに水を飲んでもらうことができたと伝わります。このことから、故人の末期の水はお釈迦さまにならい三度飲ませてあげるのです。

「猫が描かれていない理由」は諸説あります。

お釈迦さまの母であるマーヤ夫人は、お釈迦さまを生んで生後七日で亡くなってしました。

お釈迦さまを世に生み出した功徳から、天界（神様の世界）にて生まれ変わっていました。

お釈迦さまの臨終のときを知り、天界から雲に乗って駆け付け薬の入った袋を投げます。しかし、木の枝に引っかかり、お釈迦さまの元に届きませんでした。それを見たねずみが慌てて薬の袋を取りに行こうとしたところ、猫が条件反射でねずみを食べてしまいました。お釈迦さまのために駆け付けようとしたねずみを食べてしまうなど以ての外だ！と猫は涅槃図に描かれなくなりました。

「猫が描かれていない理由」など、ちょっと楽しい話も織り交ぜながら話を進めました。

お釈迦様は、悲しむ弟子たちに
「悲しむことはない。川の流れのように人は生まれ、死んでいくのだ。私の教えを心の灯火として生きていくがよい」と、最後の説法を行いました。

お釈迦さまは「自分を慕い頼りにしている者は、私が死んだら後追いしてしまうかもしれない。それでは、いけない。生きていくためのメッセージが必要だ」と思ったことでしょう。このため、「私の教えに従って生きよ」と最後の説法をされたのです。

出会いがあれば別れがある。そうと分かっていながら、人は出会いを求めてしまう。
だから出会いは「有り難い」のであり、「尊い」のだと思います。
葬儀で読み上げる諷誦文（ふじゅもん）で「永遠の別れは断ち難しといえども　別れの涙を抑え　静かで円い境地にならんことを」と説きます。

「静かで円い境地」は仏教用語で「涅槃（ねはん）」と表現されます。
故人も涅槃の境地にいたることができるよう祈念します。

閑話休題

席を辞しながら聞こえてきたのは、聞いてくださった檀信徒の方の会話です。
「あのおじゅっさん、話し上手だったな。」
「で、どこの人だったで？」

自己紹介の大切さを痛感した一幕でした。

合掌

仏教の知恵で心豊かに過ごせますよう祈念しております。

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【法話】涅槃図の絵解きを少しだけ