伸びやかな高音が美しい太輔のキーに近いのが『変わる』と『エメ』かなと思っているんですけれど『俺の名は』『悪の華』『快楽』『嫉妬』は新しい扉を開けてくれた名曲中の名曲でドン・ジュアンには感謝してもしきれないぐらい。太輔にはドン・ジュアンをライフワークにしてほしいしドン・ジュアンだけで生きていけるし一生ドン・ジュアンでいいしなんなら生涯ドン・ジュアンとして生きてほしい(混乱)
宝塚版は『Aimer』と表記されているんですが、太輔ジュアンのパンフは『エメ』なのであえてカタカナで。
マリアの瞳に映った惨めで哀れな己の姿に怯え突如湧いてきた得体の知れない感情に動揺するジュアンは亡霊の仕業ではないかと訴えます。マリアとの出会いに心揺さぶられジュアンの中にかつて抱いたことのない感情が『愛』となって溢れ出し狂おしいほどの愛を『エメ』で歌い上げます。愛を知り身を焦がしたジュアンの心の葛藤と悦び。自分の卑屈な姿に怯え震えていたジュアンが歌いながら心放たれ、愛に満ちどんどん柔らかく豊かになっていく表情に愛おしさが募ります。愛が人を変えてゆく心の変化がわかるステージ。愛の呪いはジュアンのすべてを変えてしまうのです。
●エメ(Aimer)
ドン・ジュアン
ξ*‘ -‘)教えてくれ 何が起きた あれは誰だ
ξ*‘ -‘)俺を見つめ 笑いかける 瞳に映る
ξ*‘ -‘)酷く醜い 卑屈な男 あれが俺か
ξ*‘ -‘)俺の知ってる 強い俺は どこへ消えた
『酷く醜い卑屈な男 あれが俺か』
こめかみのあたりで手を震わせながら愛という沼に落ちてゆく自分を止められない苦しみと燃え上がる愛に溺れ狼狽する姿に客席も震えます(嗚咽)
ξ*‘ -‘)エメ 愛の喜びに 命捧げても
ξ*‘ -‘)なにも惜しくない
ξ*‘ -‘)エメ 愛に導かれ 自由に飛びたい
ξ*‘ -‘)君が舞う空へ
下手から上手に愛しいマリアを追い求めるかのようにふわふわと心まで軽くなっていくようなジュアンが美しく儚い。
ξ*‘ -‘)信じられない どうかしてる この俺が
ξ*‘ -‘)あの娘に 言われたい
ξ*‘ -‘)『愛してるドン・ジュアン』
語りかけるような『ドン・ジュアン』がとてもとても切ない。切なすぎる。マリアに優しく愛を囁いてほしいジュアンの気持ちにきゅんきゅんします。ジュアンのマリア愛が美しすぎます。だって
『ただその言葉を聞くためだけにすべてを君に捧げて生きてゆきたい』
なんてささやく(歌う)んですよ!!悪徳の華だったジュアンが!黒い花だったジュアンが真っ白な心で優しく柔らかく微笑むんです。
ξ*‘ -‘)エメ 愛の喜びに 魂捧げても
ξ*‘ -‘)なにも惜しくない
ξ*‘ -‘)エメ 彼女の瞳に 跪くことが
ξ*‘ -‘)生きる喜びだ
ジュアンが跪くんです。天から光が射すかのようにお御堂の中のスポットライトのようによく見てきた光景がジュアンのバックに拡がるんです(幻想)パイプオルガンさえ聴こえるんです(幻聴)見えないものが見えてしまう。見えないものを魅せてしまう太輔の圧巻パフォーマンス!!!
ξ*‘ -‘)エメ 愛の喜びに 命捧げても
ξ*‘ -‘)なにも惜しくない
ξ*‘ -‘)エメ 愛に貫かれ 命果てるまで
ξ*‘ -‘)君を愛したい
ξ*‘ -‘)エメ…
ラストのエメで両手を胸に当てゆっくりと差し出し拡げて目を瞑るまでの美しさ。
『愛の喜びに命を捧げてもなにも惜しくない』ジュアンはマリアの中で永遠に生き続けるために『愛に貫かれ命果てる』のです(書きながら涙)