同蔵の転換点は現蔵元兼杜氏の6代目・大西唯克氏が蔵に戻ってからです。大手乳業メーカー勤務を経て、2002年に広島の酒類総合研究所で半年間、酒造りの基礎を学んだあと、蔵を継ぎました。当時は蔵の経営は芳しくなく、県外での営業でも当時の主力銘柄「高砂」の評判はあがらず、研究者やお客様には「悪い見本」とも言われたとか。平成16年(2004年)に自らが杜氏になり酒造りを開始。悪戦苦闘しながら全工程を最新の注意を払いできあがったお酒を「而今」と名付けて出荷したところ、初年度から好評を得ることになりました。銘柄の由来は永平寺を開いた道元禅師が残した言葉で「過去にも囚われず未来にも囚われず、今をただ精いっぱい生きる」という意味があり、蔵の家訓ともなっています。初めて而今を出荷した当初は蔵全体でわずか120石の生産でした。現在は而今だけで700石以上を醸していますが、それでも生産が追い付かないという人気ぶりです。近年は海外にも出荷しています。仕込み水は蔵の井戸に引いた名張川の湧水を使用。
この純米大吟醸は、レアな而今の中でも特に、滅多に口にできない、超限定品だと思います。伊賀産山田錦を40%まで磨いています。ピュアな香りで透明感があり、繊細で引っかかるところがなく、ジューシー。この純米大吟醸は、蔵のフラッグシップであり、而今の特徴をより研ぎ澄ましたような、至高の逸品だと思います。
来年、木屋正酒造は200周年を迎えます。ここで新たな挑戦をしました。以前使用していた「高砂」の商標は全国で複数の蔵が所有しています。13年前それでは全国で戦えないと思い「而今」ブランドを立ち上げましたが、「男山」や「正宗」と同じように、「高砂」は日本酒らしい言葉。おめでたい席では欠かせない言葉で、木屋正酒造にとっても貴重な財産。そこでもう一度「高砂」のブランド力を高めて次世代につなげたいと思い決意しました。金沢14号酵母を使いイソアミル系でやや甘さを抑え口の中でやさしくなじむ気品ある酒質です。どちらも記念日など、ハレの日に呑みたいお酒ですね。この機会にゼヒ一度お楽しみください☆
きときと富山を肴に今夜もほっこり日本酒で乾杯☆