次郎の8月は忙しい。


働いているレストランは、お台場にあるため

8月はかきいれどき・・・

2年ほど前に、ちょうどお盆休みにレストランに行ったら

お昼時をはずれているにも関わらず、店の前は長蛇の列ができている。


あの時は、お台場にガンダムが出現した年だったので

ものすごい人出ではあったのだが

かなり広い店なので、こんなに並んだことがなく

わたしは唖然としてしまった。


あの時ほどの人出はないにしろ、やはり8月は忙しいらしい。


いつもはランチセットのセッティングを担当している次郎が

夏休みはホリデーセットというメニューに替わり、

そのサラダを何段も作るそうだ。

次郎の説明では、何一つわからないのだが

朝もいつもより10分早く家を出る。

その時に、今日は、○段作るから忙しい・・・などと

わたしには理解できない符丁を使ったりなどする、小憎らしい!


ちなみに、トマトのことはロッソという・・・これも、符丁。


夏休みはとらない。

別にとっても怒られないのだが、8月を避けて

9月にとることに、自分で決めている。


お店の人にそう言われているわけでもないのに、自分でそう考えて決めていた。

自分で決める決まり事は安心できるらしい。


ある日、土曜日の人が足りなくなったので

急に・・・とはいえ、二週間は前だったか、出てくれないかとチーフから連絡が入った。

8月はどこも忙しく、その上研修も入ってしまったとのこと。

次郎にとって、仕事をするようになって、初めてのことが持ち上がった。

週5日、土日祝日休み、の決まりごとが崩れた時

次郎の中では大きな葛藤が始まった。


最初の一声は、「え~~!!」「いやだ!!」

何とかなだめすかして、仕事に行くようにさせるまでに、丸一日かかった。

これが日曜日だったら、もっと抵抗されただろう。

何しろ、サザエさんがあるからなあ。



仕事はちゃんと行ったが、その日の朝まで、ぐずぐず言っていた。

今週は6日働くのか・・・とか、土曜日は、アクアがあるからなどと

苦手なジョギングを理由にするなど、断る言い訳もひねり出していた。


そろそろ8月も終わろうとしている。

ひと月の間、休まずよく働いていた。

来月の夏休みは、ちょっと遠出をする予定でいる。