遺体引き揚げ時は、当事者ながらその痛ましい姿には思わず念仏を唱えてしまう。

 

小鳴門海峡の岡崎海岸前で潜水作業中に偶然海中で発見した軽乗用車内に母子らしき遺体があった。後で分ったことだが、遺体は2~3歳児を道連れにした若い女性の自殺体だったことが判明す。

 

引き揚げた軽乗用車内には、2遺体のそばにはカニ、エビ、タコが巣を作っていた。甲殻類は肉食系で、人間の死体などにも群がっていた。

 

可哀想だが、死体は腐乱してくると甲殻類の餌食となる。そのうちガスが抜けると白骨化していく。海洋での海難事故で遺体が漂流する場合には、嗅覚の鋭いサメがやってきて食い荒らすことになる。

 

6-(5)潜水橋での姉弟行方不明捜索活動

 

台風の大雨時、県下には多くの潜水橋(コンクリートでつくられた沈下橋)が増水で沈んで見えなくなる。危険なので回り道をして潜水橋を避ける人がほとんどだ。

 

しかし、朝の出勤時に急いだため、無理をして潜水橋を渡ろうとした田舎の青年が、渡り切らない途中で車ごと濁流にのまれ流され行方不明になる事件があった。

 

近くの「淵」に沈んだ車は直ぐ見つかったたものの引き揚げてみると、青年一人と思っていたところ姉弟が同乗していたことが分かる。

 

この淵は、我々が日頃潜水訓練をしている場所で比較的透明度が良い。水深も10㍍前後なので問題なく引き揚げれた事故だった。が

翌日の新聞ニュースでは大きく扱われた。

 

ちょっとした不注意で、尊い二人の命が失われたが、われわれにとってはこの時の捜索体験は後々のボルネオ奥地での捜索活動に生かされた。