○金蝉花(きんぜんか)
金蝉花とはいわゆるセミタケ(Cordyceps sobolifera)のことである。セミの幼虫とそれに寄生したバッカクキン科の真菌であるセミタケの子実体とを合わせたものを金蝉花という。
セミタケの属名を冬虫夏草属といい、同属のフユムシナツクサタケによる冬虫夏草
も生薬として有名である。中国産のセミタケはセミ(山蝉)の幼虫の頭部から1.5~6cmの柄が叢生しているもので、新鮮なときは白色をしている。
漢方では定驚・退翳の効能があり、小児のひきつけや癲癇、夜泣き、角膜混濁などに用いる。ちなみに日本各地でニイニイゼミに寄生するセミタケがしばしば採取されるが、この子実体は淡褐色の棍棒状であり、市場性はない。近年、ツクツクボウシの幼虫に寄生するツクツクボウシタケ(Lsaria cinclairii)の培養液から抽出された活性成分のミリオシンに免疫抑制作用が認められ、ミリオシンから合成されたFTY20は新しい特性を有する免疫抑制剤として注目されている。