○寒水石
(かんすいせき)
古くは芒硝の天然結晶体を寒水石といっていたが、現在、市場に出ているものには2種類あり、中国北部では紅石膏、中国南部では方解石が一般的である。日本の正倉院
御物にある寒水石は石灰芒硝という説もある。
方解石の主成分は炭酸カルシウムで、その他にマグネシウム、鉄、マンガンなども含む。紅石膏の主成分はCaSo・2H2Oで、微量の鉄、アルミニウムを含む。漢方では清熱・除煩・生肌の効能であり、熱性疾患や煩躁、歯肉炎、丹毒、やけどなどに用いる。高熱、煩躁、意識障害、痙攣、小児のひきつけなどに石膏、犀角、羚羊角などと配合する(紫雪丹)。
かつて紫雪は金沢地方で万能の救急薬として利用されていた。また金匱要略の熱性痙攣や麻痺の治療薬である風引湯にも配合されている。熱傷には炉甘石・石膏
と配合した粉末を幹部に散布すると、痛みを止めて滲出液を減少させる。