裁判所を訴える。 | 議員秘書の見た風景

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永田町から見えた日常を綴ります。

皆さんこんにちは。

元国会議員秘書のしんさんです。

国を訴える裁判についての話です。

国といっても、
通常は、内閣を含めた行政権に対する
訴訟が国賠訴訟としては通常。

しかし、
今回訴えたのは、
裁判所。

しかも、
裁判の被告が審理をしている
裁判所を相手にというもの。

変わった内容で、
かつ、内容が表現の自由の損害ということなので、

記事を見ると、

どうやらブルーバッチという、
拉致被害者救済を求めるキャンペーンとして、
政府が頒布しているバッチ。

国会中継などで、総理や大臣などが
胸につけて答弁しているのを見たことのある方は
多いと思います。

このブルーバッチ自体は、
何らいかかがわしいものでも何でもありません。

ところが、
裁判所は、
メッセージ性の強いバッチは外すように求めた。

うん?

ここに、なぜ裁判所が外すことを求めたのか
考えて見るきっかけがあるように思いました。

この裁判。

訴えている原告が、実は在日韓国人の女性。
そして訴訟の内容が、
差別を受けたことに対して会社を訴えたというもの。

被告となった会社役員が、このバッチをつけて
法廷に出ようとしていたということなのです。

となると、
一見、国による人権侵害を主張する
この不動産会社役員は被害者のように
見えますが、

実は、
より弱い存在である原告に対して、
無言のメッセージとして、
自分たちが在日の人々や、

朝鮮半島の人々に対して
どのような感情や主張を持っているかを
アピールすることができる象徴として、
ブルーバッチの着用があった訳です。

国を訴えるくらいですから、
会社役員も信条として大事にしている。

逆に、
原告である、差別を受けたと主張する
女性からすれば、
見事に無言の圧力に、ブルーバッチが見える。

そこで、
裁判所としては、
審理の際に、メッセージ性の強いものとして、
外すことを求めたということなのです。


このように、

弱い立場に見えた人権侵害も、
使い方によっては、
より弱い立場の人を傷つける
強者としての権利主張に変わってしまうことが
あります。

もちろん、裁判の行方は分かりませんが、
何でも人権侵害を主張することが、
弱き者の救済とは限らないという

珍しいケースと思います。

互いの正義をぶつけ合うのが裁判所ではありますが、
静かに裁判所は強弱を整理して判断しているのでしょう。

趣深い記事でした。

ではまた明日。