「奇跡は要らない」風・太陽・水がどのように世界に電力を与えることができるか | 榊原平のブログ―安城·愛知から世界に学ぶ Taira Sakakibara’s Blog : A Global Learner from Anjo and Aichi

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榊原平と申します。愛知県安城市出身・在住。常に学び、観察し、考え、人や社会に共感し、このブログでは自分が学んだことや考えたことや感じたことを書いています。このブログで安城・愛知から世界へつながり(Solidarity)を作りたいと思っています。

 

スタンフォード大学のマーク・ジェイコブソン教授が主張する、再生可能エネルギーへの移行について紹介したいと思います。

なぜ再生可能エネルギーへの移行が必要なのか

私たちは皆、化石燃料の燃焼によって引き起こされる気候危機や大気汚染の問題を知っています。

 

これらは私たちの健康や生活に深刻な影響を与えています。

 

例えば、世界保健機関(WHO)によると、毎年約700万人が大気汚染によって死亡しています。

 

また、気候変動によって、洪水や干ばつ、熱波や飢餓などの自然災害や社会的不安が増えています。

 

これらの問題を解決するためには、化石燃料から再生可能エネルギーへとエネルギー源を切り替える必要があります。

 

再生可能エネルギーとは、風力、水力、太陽光など、自然界に存在する無尽蔵なエネルギーを利用することです。

 

これらのエネルギーは、二酸化炭素や有害物質を排出せずに電気や熱を生成することができます。

再生可能エネルギーへの移行は可能なのか

では、再生可能エネルギーだけで世界のエネルギーを100%賄うことは本当に可能なのでしょうか。

 

ジェイコブソン教授は、それが可能であるという科学的根拠を示しています。彼は、143カ国で再生可能エネルギーへの移行をシミュレーションした研究を発表しました。

 

その結果、2030年から2050年までに全ての国で再生可能エネルギーだけで電力や交通や暖房など全ての分野のエネルギー需要を満たすことができることが分かりました。

再生可能エネルギーへの移行の利点は何か

再生可能エネルギーへの移行には多くの利点があります。まず、化石燃料の燃焼による気候危機や大気汚染を終わらせることができます。

 

ジェイコブソン教授は、再生可能エネルギーへの移行によって、毎年約400万人の大気汚染による死亡者数を減らすことができると推定しています。

 

また、温室効果ガスの排出量も97%減らすことができるということです。

 

次に、再生可能エネルギーへの移行は効率的で経済的です。ジェイコブソン教授は、再生可能エネルギーによる電気化は化石燃料に比べてエネルギーの損失が少なく、建物の断熱や掘削や採掘などの省力化によって、平均的に2035年から2050年までのエネルギー使用量を56%減らすことができるということです。

 

また、風力や太陽光発電は安価であるため、平均的に電気代は63%下がるということです。

さらに、再生可能エネルギーへの移行はエネルギー安全保障を確保することができます。

 

化石燃料は地域や国によって分布が不均等であり、供給が不安定であることがあります。これは、エネルギー危機や戦争やテロなどのリスクを高めます。

 

しかし、再生可能エネルギーは自然界に広く分布しており、各国が自立的にエネルギーを生産することができます。これによって、エネルギーの安定性や平和性を高めることができます。

再生可能エネルギーへの移行には何が必要か

再生可能エネルギーへの移行には、技術的な問題よりも社会的な問題が大きいとジェイコブソン教授は言っています。

 

その中でも最大のものは、多くの人々がそれが可能であるということを知らないことだと言っています。

 

彼は、自分の仕事は一般大衆にそれを教えることだと言っています。また、他にも、「何でもあり」の政策やロビー活動などが移行を遅らせていると指摘しています。

私たちは、再生可能エネルギーへの移行が必要であり、可能であるということを理解し、行動する必要があります。

 

私たちは、自分たちの生活や消費を見直し、再生可能エネルギーを利用する選択肢を増やす必要があります。私たちは、政府や企業に対しても再生可能エネルギーへの移行を促す声を上げる必要があります。

 

私たちは、「奇跡は必要ない」とジェイコブソン教授は言っています。私たちは、風、太陽、

 

マーク・ジェイコブソン教授とは

マーク・ジェイコブソン教授は、スタンフォード大学の土木・環境工学の教授であり、再生可能エネルギーに関する研究を行っています。

 

彼は、風力、水力、太陽光などの再生可能エネルギーだけで世界のエネルギーを100%賄うことが可能であると主張しています。

 

また、彼は再生可能エネルギーによる電気化は効率が高く、コストも安いと述べています。

 

彼によると、電気自動車や電気暖房などは化石燃料に比べてエネルギーの損失が少なく、建物の断熱や掘削や採掘などの省力化によって、平均的に2035年から2050年までのエネルギー使用量を56%減らすことができるということです。

 

他にも、風力や太陽光発電は安価であるため、平均的に電気代は63%下がるということです。

 

どのように再生可能エネルギーへの移行ができるのか

再生可能エネルギーへの移行は不可能ではありません。実際、世界中で多くの国や地域がその方向に向かっています。例えば、デンマークは2020年までに電力と暖房の40%を再生可能エネルギーで賄うことを目指しており、そのうち風力発電が半分を占める予定です。

また、ドイツは2022年までに原子力発電所をすべて廃止し、2030年までに電力の65%を再生可能エネルギーで賄うことを計画しています。

さらに、中国は2020年までに再生可能エネルギーの割合を15%に引き上げるとともに、太陽光発電や風力発電などの設備容量を大幅に増やすことを目標としています。

では、日本はどうすればよいのでしょうか。

スタンフォード大学のマーク・ジェイコブソン教授は、日本が2050年までに100%再生可能エネルギーに移行するための具体的なロードマップを提案しています。ジェイコブソン教授いわく、日本は「再生可能エネルギーの比率を上げ、送電網を広げ、電気自動車を増やし(風力発電の夜間利用を増やすため)、電力供給にできないものを水素に切り替え、再生可能エネルギーの発電設備容量を十分に活用し、風が強すぎる時は制限するのではなく、余剰分を水素に回して高温処理や運搬に用いることが不可欠」ということです。

ジェイコブソン教授のロードマップでは、日本の2050年のエネルギーミックスは以下のようになります。

  • 風力発電:50.5%(陸上:10.5%、洋上:40%)
  • 太陽光発電:28.9%(屋根上:11.9%、地上:17%)
  • 水力発電:9.5%
  • 地熱発電:6.2%
  • 波力発電:2.4%
  • 潮力発電:1.7%
  • 太陽熱発電:0.8%

このようなエネルギーミックスを実現するためには、日本は以下のような施策を講じる必要があります。

  • 風力発電設備容量を約1,000倍に増やす(現在:約3.4GW→2050年:約3,400GW)
  • 太陽光発電設備容量を約100倍に増やす(現在:約55GW→2050年:約5,500GW)
  • 地熱発電設備容量を約30倍に増やす(現在:約0.5GW→2050年:約15GW)
  • 波力発電や潮力発電などの新しい技術を開発・普及させる
  • 電気自動車の普及率を高める(現在:約1%→2050年:約90%)
  • 水素や電気を用いた高温処理や運搬などの産業用途を拡大する
  • 送電網を強化し、再生可能エネルギーの安定供給を確保する

ジェイコブソン教授は、このような移行が日本にとって多くのメリットをもたらすと主張しています。まず、原子力発電や化石燃料の燃焼による大気汚染や放射能汚染などの健康被害や環境被害を防ぐことができます。また、エネルギー効率が高まり、エネルギー使用量やエネルギーコストが低下することで、経済的な節約にもつながります。さらに、再生可能エネルギーは国内で生産できるため、エネルギー安全保障も向上します。そして、気候変動対策にも貢献し、国際社会での日本のリーダーシップも強化されるでしょう。

どのような課題や障害があるのか

再生可能エネルギーへの移行は可能ですが、容易ではありません。多くの課題や障害があります。その中でも最大のものは、政治的な意思決定と社会的な受容性です。日本では、原子力発電や化石燃料に依存する既存のエネルギー体制に対する利害関係者の影響力が強く、再生可能エネルギーへの移行には消極的です。また、再生可能エネルギーに対する一般市民の理解や支持も十分ではありません。風力発電や太陽光発電などは景観や騒音などの問題を引き起こすという反対意見もあります。このような課題や障害を克服するためには、以下のような取り組みが必要です。

  • 再生可能エネルギーへの移行の必要性や利点を広く啓発し、社会的な合意形成を図る
  • 再生可能エネルギーへの移行に向けた長期的で明確な政策目標とロードマップを策定し、法制度や制度設計を整備する
  • 再生可能エネルギーの導入や普及を促進するための経済的なインセンティブや支援制度を提供する
  • 再生可能エネルギーに関する技術開発や人材育成を推進する
  • 再生可能エネルギーに関する国際協力や情報交換を強化する

まとめ

再生可能エネルギーへの移行は、日本にとって重要な課題です。再生可能エネルギーによって、気候危機や大気汚染を防ぎ、エネルギー効率やエネルギー安全保障を高め、経済的な節約や国際的なリーダーシップを得ることができます。しかし、再生可能エネルギーへの移行には多くの課題や障害があります。政治的な意思決定や社会的な受容性を高めるためには、広く啓発し、明確な政策目標とロードマップを策定し、経済的なインセンティブや支援制度を提供し、技術開発や人材育成を推進し、国際協力や情報交換を強化する必要があります。再生可能エネルギーへの移行は奇跡ではありません。私たちの意志と行動次第で実現できるものです。私たちは風、太陽、水という自然の恵みによって世界に力を与えることができます。私たちはその力を使って未来を変えることができます。私たちはその力を使って奇跡を起こすことができます。

 

 

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