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時は三月某実。

その日、ユニットまいあがれは稽古の追い込みに入っていた。

 

 

4月、8月、10月と、火曜日のゲキジョウseason4に三回参加する事が決定しているユニットまいあがれにとって、第一回となる今回はなにがなんでも成功させたい公演。本番が近づくにつれ否が応にも稽古に熱が入っていた。

 

そんなピリピリした稽古場に響き渡る慇懃なノック音。

 

 

『だれじゃい!』

 

米田真理の怒号に怯える様におずおずと開いたドアから現れたのは・・・

 

 

『へっへっへ、稽古中失礼するでゲス』

 

卑屈な笑顔を浮かべた、たにがわさき

 

 

『あらあら、誰かと思うたら礼儀知らずの後輩さんやないの』

『なんやドサンピン。ワレこの前の続きでもしようっちゅうんか?』

 

全盛期のジェラルド・ゴルドーを思わせる野獣の目つきでたにがわを睨みつける二人。

 

『いえいえとんでもねえでゲスよ!あれ以来あっしもすっかり心を入れ換えやして。へえ。』

『まあそれはええ心がけやけど…』

『それより…』

 

 

まいあがれの二人の視線がたにがわの手に集まる。

 

『あんたの手に持ってるもんはなんなんえ?』

 

たにがわの手には作・演出の上田ダイゴが自腹を切って買った(実話)缶飲料が二本。

 

『ああ!これは気がつきませんで!お詫びの印と言ってはなんでゲスが、これをお二人に…』

『おうおうおう』

『あらあらあら』

 

 

たにがわの言葉が終わらないうちに缶を奪い取るまいあがれの二人。

 

『ドサンピンにしてはなかなかええ心がけやないかい。なあナカジ』

『ほんになあ。ウチらもみっちり教育した甲斐があったってもんやわあ』

 

 

たにがわの前ではじめて温和な表情を見せる二人。

 

『さ、さ、冷めないうちにグイッとやってくだせえまし』

『ほなまあ…』

『遠慮のう頂こうかしらね』

 

 

プルトップを引き上げ、笑顔で口をつける米山と中嶋。

 

その瞬間、

 

 

ただ卑屈だったたにがわの笑顔に悪魔が乗り移った。

 

 

『・・・ん?』

『なんか、この味・・・』

 

二人が異変に気付いた時にはもう遅かった。

 

 

『あたっ!あたたたたっ!!』

『お、お腹が!お腹があ~!』

 

腹部を襲う激痛に悶え苦しむ米山と中嶋。

 

 

『あれぇ~?どうされたんですかあ~?』

『お、おいこらドサンピン!』

『あんた!何を仕込んだんや?』

『仕込むぅ~?なんの事ですかぁ~?』

 

悪魔的笑顔でしらを切るたにがわ。

しかしその時偶然通りかかったメガネに蝶ネクタイの小学生が床にこぼれた液体を舐めて『ペロ…これは…青酸カリ!』と言い残し絶命した事からも察するに、かなりの劇薬が混入されていた事は間違いない。

 

 

『お、おどれぇ~、こげな事して只で済むと思うなよ』

『いいがかりはやめて下さいよぉせんぱ~い♪』

 

先ほどの卑屈な態度から打って変わって、軽やかな動をみせるたにがわ。

 

 

『それじゃあ稽古中お邪魔しましたあ~♪』

『お、おどれ・・・』

『ま、待たんかい・・・』

『あ、4/4はいい公演にしましょうね~♪まあ生きていればの話ですけどっ☆』

 

遠ざかるたにがわの笑い声を聞きながら悶絶する二人を残して閉まる扉。

 

 

その後、まいあがれの二人は危篤状態に陥ったが、偶然その場にいた謎の中国人に14リットルの砂糖水を飲まされて『毒が裏返った』とかなんとか言ってる間に無事完治した模様。

 

まさに血で血を洗う抗争に発展したタイガーパファーとユニットまいあがれ。

 

この決着をつけるには直接対決しかない!

 

次回、タイガーパファーvsユニットまいあがれの遺恨対決の全貌を発表!

 

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