今回の記事ですが、このブログにしては珍しく重め?な映画簡易レビューです。1年以上前から書きたかったのですが、随分長く保留にしてしまいました(^▽^;)

 

 

私がこれまでに視聴した映画とかドラマは、間違いなく人の平均よりもずっと少ないと思っています(ホントたま~にしか見ません)でもそれだけに?印象に残るとずっと覚えているパターンが多いです。今回の映画もその一つ。かなり昔にNHKの放送で視聴した作品です。

 

 

ご紹介するのはポーランドの映画で1956年と1958年制作です。

アンジェイ・ワイダ監督の『抵抗三部作』と呼ばれたシリーズの話で「灰とダイヤモンド」「地下水道」というモノクロ(白黒)映画なのですが、当時の制作秘話を知ることにより深く私の印象残った作品です(三部作のもう一つは「世代」という作品ですがこちらは未見です)

 

 

 

ざっくりストーリーの紹介をしますと「地下水道」は1944年のワルシャワ蜂起に敗北したレジスタンスが下水道を伝って脱出しようとするものの全員助からないという、暗い結末のストーリー(T_T)です。

 

 

「灰とダイヤモンド」は1945年5月8日~9日の一日に焦点をあてており、レジスタンスの生き残り青年(映画の地下水道メンバーではないものの地下水道にいたために目を病んでサングラスをかけている)が、反ソビエト派のテロリストとして共産党地区委員長の暗殺を遂げるも、ラストはあっけなく撃たれてごみ溜めの上で息絶えるという、これまたあまりに救いようのないストーリー(T_T)です。

 

 

 

なんていうのかな~とにかく戦争の悲惨さと、その後遺症の悲惨さが伝わるものでした。「地下水道」を見て、私は初めて歴史で習った「ワルシャワ蜂起」がめちゃめちゃ恐怖の日々だったことを感じたものです。こうした恐怖感や悲惨さは原子爆弾の投下とも変わらないものだと思います。

 

 

 

「灰とダイヤモンド」の青年主人公マチェクは『本当は生き方を変えたい。勉強して働いて、普通の生活がしたいだけなんだ』と言っていました。これが普通の人の望みでしょうに。たったそれだけのことが許されない今の世界は何と冷たいものかと私は思いました。

 

 

 

 

「灰とダイヤモンド」の主人公マチェク

演じた方はポーランドのジェームス・ディーンとも呼ばれたそうです(残念ながら列車事故で亡くなっています)

 

 

 

 

 

 

「地下水道」のレジスタンスたち

一人、また一人と脱落(亡くなったり発狂したり)する様子が辛かったです。頑丈な鉄格子に阻まれて外に出られないまま終わります。この作品がカラーだったら絶対見てられなかった自信あります(T_T)

 

 

 

 

そしてもう一つ。これらの作品には今で言う「暗喩的な思い」が表現されているのです。映画が制作された当時のポーランド(ポーランド人民共和国)はポーランド統一労働者党(ソビエトの傀儡)に支配されていました。そのため映画は検閲がなされ、ソ連を批判することは不可能でした。しかし作品にはポーランドをドイツから故意に見殺しにしたソ連への非難の気持ちが込められています。

 

 

「地下水道」のラストに、行き場を失ったヒロインたちのいる鉄格子の先の水路の対岸には、助けると約束しながら待機して何もしないソ連軍が見えませんが描かれています。カットはそれだけですが、監督はここに力を注いだであろうと想像します。

 

 

「灰とダイヤモンド」も青年マチェクが、ゴミの山の上で息絶えることで反政府運動の無意味さを描いていると上層部は捉えましたが、監督の真意は別にあったそうです(国民もそれを感じ取りました)

 

 

 

 

 

 

 

アンジェイ・ワイダ監督は2016年に90歳で亡くなりました。

監督のお父さんは1940年にカティンの森事件に巻き込まれています。もしかするとワイダ監督の映画への原動力はこの出来事が原点だったのかな~と思います(2007年には80歳にして映画「カティンの森」を制作しました)

 

 

 

遠くない未来に、世界中の人たちが争わなくてすむ時代、各々が存分に好きなことで働けて勉強できる時代が訪れて欲しいです。

 

 

 

 

§~おまけ~§

 

 

 

セインズベリーというイギリス大手スーパーのクリスマス商戦(^^;)のCMなのですが、ほろりとするミニドラマ?です。でもなんともね~戦いなんて放り出して年中クリスマスで良いんじゃないでしょうか~なんて思いましたよ(ToT)

 

 

 

 

 

 

ミスチルの「タガタメ」の曲好きなのですが、もともとは当時のカップヌードルのCMがすごく印象に残って良かったのでした。

星から見れば国境なんてないからね~(^o^)丿