「私たちはお互いの他に何も持たなくなってしまった・・」

 

 

後の銀河皇帝ラインハルトの宇宙で一番敬愛する姉、グリューネワルト伯爵夫人アンネローゼは互いに別々の生き方をすることを表明し、弟に別れを告げます。

 

 

このときの彼女の反応は後世の歴史家たちが言うように、本当に冷たいものだったのでしょうか?

彼女の真意について、アンネローゼ好きの私リュシータが分析&解説してみたいと思います。

※個人の感想です~ご承知おきください~♪無駄に長文です。

 

 

 

 

 

腹心でもあり、かけがえのない唯一の友を失ったラインハルト。そのラインハルトを立ち直らせて欲しいという、帝国軍の参謀オーベルシュタインの依頼を受諾したアンネローゼは弟との対面を求めます。

 

 

キルヒアイスがラインハルトの光の部分なら、オーベルシュタインは影のようなもの、もしかするとアンネローゼはオーベルシュタインが実は弟に気質が似ていると思ったかもしれません。と、私は勝手に思っております(^^)存外似てません?

 

 

アンネローゼはラインハルトが深く傷ついていることを承知していました。もちろん彼女自身もこれまでにない失意のどん底に叩き落され、しかもゆっくり感情の整理をする時間の猶予は与えられていません。けれども彼女は自分のなすべきことが判っていました。

 

 

アンネローゼがオーベルシュタインからどの程度の状況まで話を聴くことができたのかは作中明らかにされていませんが(ヴェスターラントの件や、それ以前からあった№2不要論など)少なくとも参謀の進言+ラインハルトのミスで、キルヒアイスを死なせてしまったことは伝えらえたことでしょう。

 

 

 

 

 

キルヒアイス死去の報を聞いたアンネローゼはおそらくラインハルトを責めるより、自分の罪の大きさに(弟のことをお願いね、と依頼してしまったこと)圧倒されたと思います。自分がどれほどキルヒアイスを頼っており、彼がそれにずっと応えてくれて、遂に命そのものを弟のために犠牲にさせてしまったことに、その依頼の代償の大きさにはっと気づかされたと思います。

 

 

「失われる前にその貴重さを理解して欲しい」と少し前にアンネローゼはラインハルトに手紙を送っていましたが、もしかするとアンネローゼ自身も、キルヒアイスというかけがえのない存在を失って初めて、彼の本当の貴重さを重く理解することになったのかもしれません。

 

 

アンネローゼが15歳で後宮に上がることになったとき、彼女はラインハルトに『1回目』の「私には過去があるだけ(=自分には未来がない)」という立場だということを示唆します。それから10年間アンネローゼは生きてはいましたが、前を向いて生きることはしなくなりました(生きているが存在はしない、と言われたロードス島のレイリア=カーラのことをちょっと思い出します)アンネローゼは皇帝に対しては境遇に同情はしても、愛情は持たなかったというのが私の見解です。

 

 

 

 

 

皇帝が崩御し、寵姫の立場から解放されることになったアンネローゼは束の間の安らぎを得ます。弟たちはまだ戦いの最中にありましたが、それでも王宮ではない場所で、失われた家族の時間を再び持つことができました。シュワルツェンの館は彼女にとって緊張を強いられた西苑の館とは違い、10年ぶりに得たリラックスできる休息の家だったと思います(実に弟たちはいい仕事をしましたよ!)

 

 

シュワルツェンの館に住んでいたとき、アンネローゼの胸中はどうだったのでしょう。まだ「私には過去があるだけ」状態だったのでしょうか?実のところ、私は最近までそう思っていました。

失われた時は戻らない、自分はまっとうな光の人生を歩むことはできない、だから静かな余生を送ろうと思っていたのでは?と。

 

 

 

 

でも、このときは少し違ったのではないかなと思います。未来を志向するラインハルトとキルヒアイスの存在そのものが、彼女に大きな支えと影響を与えたものと思われます。「これからは幸せになってください」という弟の言葉を、形だけの「ありがとう」だけでは終わらせずに、少しだけ前向きに自分の人生を見つめなおそうと思った時期だったのでは?そんな風に私は思うのです。

 

 

その理由らしき?記述を原作の後半に読むことができます。フェザーンでヒルダたちを守ろうとした彼女は(少しだけネタバレを防ぎましょうか笑)それから自分の生にいくらかの意味を見いだすようになるわけですが、それまでは、いつ現世から消えても(肌も白すぎて)おかしくないほどでした。でも誰か大事な人が近くにいると、彼女は無意識に前を見て生きようとします。

そしてシュワルツェンにいるときは、正にそういう状態で、生き生きとした弟とその親友が彼女の近くにいたのです。

 

 

※若い時の私は原作が終わった後、アンネローゼはさほど長生きしなかったのだろうと思っていたのですが、今は違うのかも~と思ってます(^-^)タイタニックのローズみたいな人生も有り?

 

 

 

 

 

アンネローゼにとって、キルヒアイスは最初は弟に近い存在だったと思われますが、明らかにキルヒアイスはアンネローゼに対して別の想いを持っていました。少年の憧れのまなざしから青年の別のまなざしに変わっていく変化をアンネローゼはある程度感じていたことでしょう。後宮にいるときは寵姫ということが守りになるので、あまり深く考えなくても良かったのかもしれません。

 

 

寵姫という立場がなくなり、改めてキルヒアイスの自分に対する好意に、いろいろ戸惑ったものと思われます。キルヒアイスにはもっと別に相応しい人が、ということも考えたかもしれません。

それでも、嫌な気持ちにはならなかった、むしろ嬉しい気持ちがあったはずです。もし、このまま弟とキルヒアイスと共に自分も光ある道を歩むことができれば・・・。

もしもそうすることがかなうのなら、許されるのなら、もう一度前を向いて生きても良いだろうか・・・。

 

 

陽光のシュワルツェンの館で、アンネローゼの心は少しずつ変化しようとしていました(おそらく)

 

 

 

 

 

自身の生き方の考えが変わり始めた途端に、もたらされた悲劇にアンネローゼは呆然とします。自分の至らなさを思い知ります。しかし同時に理解します。今は光の道から転落しかけている弟を助けることが自分の務めであることを。

 

 

オーベルシュタインに求められているのは、私人として弟ラインハルトを慰めることではなく、公人としてラインハルト元帥を起き上がらせることにある、もしそうしなければ弟は精神的に死ぬだけでなく物理的にも害される可能性が極めて高いことを、弟の敵が多いことを知っているアンネローゼは(オーベルシュタインから指摘されなくても)想像できたでしょう。

 

 

何が「再び立ち上がるために」最善になるのか、姉として自分ができることをアンネローゼは短い時間で考えを巡らし、そうして答えを見いだします。

それは自分がラインハルトから離れることでした。

 

 

 

 

 

「ラインハルト、疲れたら私のところへいらっしゃい。

でも、あなたはまだ疲れてはいけません。」

 

 

 

後にラインハルトは同盟の老将ビュコック提督のことを回想したときにこう語っています。

「不死鳥は灰の中からこそよみがえる。生焼けでは再生を得ることはできぬ。あの老人はそのことを知っていたのだ。」

 

 

聡明なアンネローゼは、ある意味でビュコック提督と同じことを考えたのではないでしょうか。自分が近くにいてラインハルトを慰めていたら、ラインハルトは姉から自立して強い統率者として立つことはかなわない。最大のそして唯一の理解者である親友を無くしたラインハルトは、もう一人残った理解者である姉が突き放すことでしか、立ち上がれないことを直感したと思います。

 

 

と同時にそれは、自分自身の中に芽生えた未来への小さな願望、弟たちと幸せに、普通に暮らしたいという淡い願いを断つことを意味していました。前を向いて生き始めようと一度は考え直したものの、やはりその生き方は許されていないのだともしかしたら思ったかもしれません。でもアンネローゼは自分のこと以上に、弟ラインハルトのことを愛していました。寵姫になることを決意したときと同様、弟のために何でもしたいと考えました。

 

 

 

 

 

アンネローゼにとって安らぎの場所であった、シュワルツェンの館を去ることは本当は彼女が払った犠牲の一つなのです(本人は犠牲でも何でもなく当然と思っているでしょうけれども)3人の思い出があるのが耐えられないという理由ではありません。住み続けるのはキルヒアイスに申し訳ないという気持ちはあったでしょうけれどそれは今は主理由ではなく、あくまでラインハルトが立ち直るためです(ラインハルトは「姉上のお望みの通りに」と言っていますので、姉の真意を理解できていません)

 

 

★「蜘蛛の糸」的ストーリーで言いますと、苦しい闇の世界から光の世界にやっとたどり着けそうになったアンネローゼは、光の世界から落ちかけたラインハルトを救うために、自ら自分の糸を切った、というような感じですね(^_-)-☆

 

 

 

 

 

もしラインハルトが普通の民であれば、アンネローゼはそういう方法は取らなかったかもしれません。

けれども権力者としての道を進んでいる弟の立場を考えるなら(アンネローゼ自身は簒奪に消極的に反対だったかもしれない)温かい私人のラインハルトとして生きる道に救うことはもうかなわず、公人のローエングラム元帥としての道を生きるしか残されていないことを、それしか助ける術がないことをアンネローゼは痛感したのではないでしょうか。

 

 

「まだ疲れてはいけない」弟にローエングラム元帥として生きる道を自分が進めた以上、自分のせいでこれから多くの血が流れる可能性があることをアンネローゼは理解していたと思われます(リヒテンラーデ一族の件などは顕著ですね)今までは辛うじて政治に中立でしたが、この発言で自分が権力に深入りしたことを認識したかもしれません。それで、もしかすると「疲れたら私のところへいらっしゃい」というのは、ラインハルトが権力者としての力が潰えたとき、死ぬときは姉弟で共に、という意味だったのかもしれません(深読みですかね?)

 

 

 

 

 

 

長くなりましたが、結論です。アンネローゼがラインハルトから離れたのは、キルヒアイスの死の責任をラインハルトに求めたのでも、ラインハルトを見捨てたのでもありません。むしろラインハルトを一番に愛する姉として、弟を生かすために最大限の犠牲を払ったのだと私は思います。それは寵姫になるときと同様の、あるいはそれ以上のものなのかもしれません(ラインハルトはアンネローゼに大きく2回助けられたと言えるのかも)

 

 

光通信でアンネローゼは『2回目』の「私には過去があるだけ」発言をラインハルトにしました。その本当の意味を彼女は言いませんでしたが、もしかするとそれは「今までずっと過去があるだけの世界にいて、さらにそれを続ける」というよりは「ラインハルトたちのおかげで一度は止めようとしたけれど、それはかなわないことと知ったので、またこの世界に戻る」という意味での「過去があるだけ」だったのかもしれません。

 

 

以上「さらば、遠き日」より、アンネローゼの考察でした(^^)

 

 

 

 

 

お疲れさまでした、あとはおまけ話です(^_-)-☆

 

 

おまけ①-1

 

 

ノイエ銀英伝ではドレス姿が少ないアンネローゼ(はぁ残念~)ので、数少ないドレス着用シーンを私の目の保養のために・・・( ̄▽ ̄)

 

 

 

↑旧OP版

 

一瞬しか映りません&しかも本編には全く出てきません(泣)

 

 

 

 

↑新OP(Eテレ)版

 

これも~本編には出てきません(泣)

場所はヴェルサイユの鏡の間チックなところですね。

 

 

 

 

 

 

 

↑本編「皇帝崩御」より

 

 

ドレスですが喪服です(泣)

 

 

 

 

 

 

アンネローゼは髪の毛が長くて量も多いから、こんなにスッキリまとまるのかちょっと謎です(←細かい~笑)

 

 

 

 

↑本編「死線(前編)」より

 

 

やっとちょっとだけ登場しました。

でもごく短い(泣)

 

 

 

↑寵姫のお仕事お疲れさま~(^-^)

 

 

↓このヘアスタイルはきっと係の者が作るのでしょうね。

 

 

 

何とドレス姿はこれだけです~めっちゃつまんない!(超個人的感想)のですが、もしかするとEテレさんは私のそんな気持ちを汲み取ってOP&EDのアンネローゼの露出を増やしてくれたのかもしれません。ありがとう!Eテレさん!

 

 

 

 

おまけ①-2

 

 

OP&EDのアンネローゼ(^^♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

↑旧OPのこのお城は何を意味するのか・・いまいちよく判りませんでした(この絵だけ見ると何となく進撃の巨人風な気がするのは私だけでしょうか?)

 

 

 

 

おまけ①-3

 

巴旦杏(ケルシー)のケーキの謎

 

アンネローゼ推しの私ですが、実は彼女の得意な巴旦杏のケーキなるものがどういうケーキなのかよく判っていないのです(^^;)

 

巴旦杏・・・アーモンドなのか?

ケルシー・・・すももなのか?

 

う~んどっちなのだろう、でも両方食べてみたいかも❤

 

 

 

 

 

 

おまけ②-1

 

 

懐かしのゲームとの類似点

 

 

囚われた姉を救い出すために奔走する弟とその親友、という銀河英雄伝説前半のストーリーが、とあるゲームとすごく似てる~と思ったもので(旧作のアニメを見てる頃ですけどね)ここで共にご紹介いたします(懐かしゲームです)

 

 

★ファイアーエムブレム(暗黒竜と光の剣/紋章の謎)★

 

 

 

主人公:アリティア国の王子マルス

 

 

 

マルス王子の姉、エリス王女

 

 

 

マルスの親友、マリク

 

 

 

 

 

亡国の王子マルスとその軍が、国を取り戻し、大陸の悪を一掃するというストーリーとなっています。

マルス・エリス・マリクの関係がそのまま銀英伝の3人みたいで、とても好きなゲームでした。そういえば同人誌も買っていたような・・気がします(笑)

 

 

 

おまけ②-2

 

 

ロードス島戦記のレイリア好き~♡

 

 

 

 

銀河英雄伝説を始め、ゲーム&ファンタジー、果ては同人誌系に足を踏み外す??きっかけとなった作品です(現在は卒業済ですが。中学時代の親友~ありがとう)基本私は大ニース・レイリア・小ニースが好き。あとディードリットも。TRPGやゲームブック系もこの作品があって楽しめました。考えたら指輪物語のオマージュだらけなのですよねこの作品。今回のブログを書いていて青春( ̄▽ ̄)を思い出したのでここに記録まで。

 

 

 

それではご覧の皆さま、長い文章をお読みくださり、ありがとうございました!次回のブログもノイエ版・銀河英雄伝説ですが、私の趣味の世界の観点からお送りいたします。たぶん・・今回のようにだらだら長くはならないと思います~努力しますm(__)m