(8)伯爵夫人と家族
寵姫アンネローゼの住まいはノイエ・サンスーシ(新憂無宮)の西苑の一隅にあります。いわゆる後宮なので、訪れる人はかなり限られるのです。
アンネローゼの弟、ラインハルトと腹心(幼馴染)のジークフリートとの面会が久しぶりにかない、二人がアンネローゼに会いにやって来ました。
以下~小説より抜粋引用~♬

目的の館はリンデンバウムの繁る池の畔にあり、女主人に相応しい清楚な建築様式だった。



アンネローゼのすんなりとした優美な姿をポーチに見いだすと、ラインハルトはまだ完全には停まっていない地上車から飛び降り、小走りに駆け寄った。

「コーヒーを淹れましょう。それとケルシーのケーキもね。手作りだからあなたがたの口にあうかどうかわからないけど。食べていってちょうだい」
「口を合わせますよ」

コーヒーカップの触れ合う音、清潔なテーブルクロス、ケルシーのケーキに混ぜられた微量のバニラエッセンスの香り・・・慎ましい幸福の一つのかたちがそこにあった。


コーヒーが淹れられ、クリームが落とされた。手作りのケーキに、裏を考える必要のない会話。心が温かい波に浸されてゆくかのような時が過ぎてゆく。
時の聖霊がこの空間だけを10年前に戻したような錯覚を、若者たちは等しく抱いた。
「そうそう、ラインハルト。シャフハウゼン子爵夫人から頂いた美味しい桃色葡萄酒(ヴァン・ローゼ)があるの。地下室にあるから取ってきてくれないかしら?帝国元帥閣下に雑用を頼んで悪いけど」
「ええ、雑用でもなんでも相努めますとも」
「・・・・・・・もっと見つけやすい場所に置いていてくれればいいのに」
「はい、ご苦労さま。でも苦労して探しただけの価値はあってよ。グラスを持ってくるわね」
「ジーク、弟がいつもお世話になっていますね。弟は口には出さないし、あるいは本人も気付いていないかもしれないけれど、ジーク、あなたを本当に頼りにしています。どうか、これからも弟のことをお願いするわね」
「私に出来ることなら何でもいたします、アンネローゼさま」
(端折っていますが、もっと深い会話をしています)
ジークフリート心の声『私はあなたたちに頼って欲しいのです・・・。10年前、貴女に「弟と仲良くしてやって」と言われた瞬間から、ずっとそうなのです・・・』
10年前! 10年前に自分が今の年齢であったら、アンネローゼを決して皇帝の手などに渡しはしなかった。
当時、自分にはその能力もなく、自分自身の意志すらはっきりと把握できていなかった。今はそうではない。だが10年前以上に、どうしようもない。人はなぜ、自分にとってもっとも必要なとき、それに相応しい年齢でいることができないのだろう・・。

~小説抜粋引用終わり~
アンネローゼと皇帝の心の絆については、作中で語られることはありませんでしたが、アンネローゼとラインハルト、ジークフリート(ジーク)の3人の絆は、アンネローゼが皇帝の妻になった後でもとても強く、アンネローゼを王宮から救い出すため、ラインハルトとジークは奮闘の日々を送ります。
しかしラインハルトが親友ジークにだけ打ち明けた、もう一つの己の野望をアンネローゼは感づいていたものと思われます。
それは「二人で宇宙を手に入れること」でした。姉アンネローゼが後宮に納められたとき以降、ラインハルト・フォン・ミューぜる(後のローエングラム)と親友であり腹心でもあるジークフリート・キルヒアイスは長い戦いの日々を送ることになり、アンネローゼはいつも二人の無事を願うのでした。
【番外編】~想い出の蘭の花~♪
旧作のみなのですが、アンネローゼの傍らにいつもある、お花にお気づきでしょうか?
思い返せば、伯爵夫人がこの花に水をやるシーンは割と多かったような気がします(*^^*)
私の場合はつい豪華な植木鉢??のほうに目が行くのですが(笑)このお花はアンネローゼにとって想い出の花なのです。
アンネローゼ家族がオーディンの下町に引っ越してきてまもなく(作中では10年前)隣家の少年・・・ジークフリートが彼女にプレゼントしたものがありました。
それが↓蘭の花でした。ジークフリートの父親は蘭の花の栽培を趣味にしており、大切に育てていたのです。
その当時と同じ種子を王宮に持ち込めたかどうかは不明ですが、「私には過去があるだけ」という生き方をしているアンネローゼにとって、蘭は過去の重要アイテムだったのでしょう。

実はこの設定、だいぶマニアすぎて?あまり活かせなかったのでちょっと残念でした(映画版も第2期にも出てくるのにね~)
(9)伯爵夫人の住まい
アンネローゼの住まいは・・
普通の?お屋敷で誕生(場所は不明)
首都オーディンの下町に転居
(このとき弟が唯一無二の親友&後の腹心と出会う)
約半年後に宮内省役員の依頼という名の命令により、王宮である新憂無宮(ノイエ・サンスーシ) の中にある菩提樹の茂る池の畔の館で約10年間を過ごす←今ココです。
その後、皇帝が死去、権力を握った弟ラインハルトによって助けられ、オーディンの街にあるシュワルツェンの館で弟と暮らす→弟の腹心が亡くなったことにより失意のうちに館を退去、同じ星の田舎(というか景勝地)フロイデン地方の山荘に引きこもる(さらに後で別の星に向かいますが、省略で)
の順に変わります。
私は寵姫時代の館が特に好きなので(*^^*)王宮編や装い編などでも多少述べていますが、改めて館についてツッコミです(お城見学大好きなのです~❤)
建物外観はホワイト大理石チックです。
大理石の館=マーブル館ですね~(勝手にアメーバピグのお家の呼び名設定にしているリュシータです~♪)
白い館、高い窓、玄関扉まで階段有り、玄関の上にバルコニー(テラス)付きは、全部私の大好物❤です。

お部屋の内装はコテコテです~♪
こちらの壁は青い御影石使用でしょうか、金もふんだんに用いられているようです。ドイツのリンダーホーフ城を思い出しました(小さいお城ですが豪華なのです)
大きな暖炉(マントルピース)上の絵画、猫足の調度品ete・・外観(造り)はシンプル?ですが、内装は相当凝っていますね。花瓶に生けているお花もたくさんありそうです。
生花がたくさん飾れるお家って憧れます~(メンテナンスが大変そうですが)
私が特にお気に入りな2Fテラス~(≧▽≦)❤❤大きな半円の形がおしゃれですね。将来の家設計の参考になります(笑)
アンネローゼとジークの2ショットはなかなか珍しいです。
つかの間の幸せな時間・・・(泣)
ちなみに映画版では1Fは小説通りに静かな池に面しています。睡蓮が美しい・・・(^_-)-☆
伯爵夫人の館は、同じ寵姫のベーネミュンデ侯爵夫人の館よりもこじんまりとしていますが、それでも充分豪華で華美な住まいと言えるでしょう。寵姫の西苑おそるべし~(^▽^;)
(10)伯爵夫人の家族に近い友人たち
敵の多い(というより味方が少ない)伯爵夫人ですけれど、彼女には2人の貴族の友人がいます。
シャフハウゼン子爵夫人ドロテーアと
ヴェストパーレ男爵夫人マグダレーナです。

~シャフハウゼン子爵邸~
シャフハウゼン子爵夫人はもともとは平民の出身です。子爵との婚姻により子爵夫人になりました。
容姿端麗というわけではないのですが、貴族には珍しく?善良で親切な人です。聡明さの点においては物足りないかもしれませんが、アンネローゼとっては一番心安らぐ友人と思われます。
私的に結構お気に入りのキャラクターでした。外伝OVAで姿が見られて何気にうれしかったです~(*^^*)
才女ヴェストパーレ男爵夫人とお付きの男性たち(笑)
男爵夫人は貴族社交界の花のような存在です。男爵夫人とは呼ばれていますが、独身で、自身が男爵家の当主です(女男爵という感じですね)才色兼備の裏打ちされた自信家で、アンネローゼをよく助けてくれる頼もしい存在です。
そういえば、ラインハルトの将来のお嫁さんとも知己がありましたね~物語の後半は出演しなくなってしまうのですが(はなはだ残念)二人の結婚式はきっと出席していたことでしょう。もっと男爵夫人の活躍ぶりを見たかったです~(*^-^*)
ラインハルトとジークにとっては、お姉さんのお友だちですが、庶民の気さくなフレンドリー関係?というよりも、貴族の婦人に対しての常に敬意ある振る舞いをする相手でもあります。
とはいえ、彼女たちは数少ない味方なので少年たちは普段よりも安心することができました。
ラインハルトはこの時点では子ども扱いされています(特に男爵夫人)が、後に偉い立場になったとき、この女性たちとどんな風にやり取りをしたのか、個人的にかなり関心があるのですが(笑)
【おまけのおまけ】

おそらく14~15歳のアンネローゼです(全然子供に見えない)実は誰かさんが持っている隠しブロマイド写真です(≧▽≦)・・ちなみに弟ではありませんよ~(いつか本当の家族になって欲しかった~しかし現実は厳しいのです・・遠い目)