下駄の音のふたつになりて朧かな

はこべらをつつくヒヨコの尻円き

絡む糸切らずにほどく日永かな

花ひらり今宵栞となりにけり

息止める夜もあり風鈴の無音

集合の夏野のヘソはここらへん

振り返る道に人なし草の花

オチを知る落語で笑ふ今日の月

恋する蜜柑放物線を描く

寒月や向ひ合せに建つラブホ