タイマッサージなるものを覚えてから、早いもので数年になる。

私のいわば縄張りともいうべき荒川沖界隈には、タイマッサージの店が随分と多い。そこで私は、金に糸目をつけるというほどの分別もなく、気の向くままに店を変え、また同じ店へ戻り、幾度となく足を運んできた。

初めのうちは、それもなかなか愉快なものであった。

今日は当たりであるか、はたまた外れであるか。店の扉を開けるたびに、些細ながらも一種の期待があった。しかし、人間というものは贅沢なもので、同じことを何年も繰り返していると、とうとうその期待さえも色褪せてくる。

近頃では、いささかマンネリを感じる。

いや、マンネリなどという生易しい言葉では足りない。時には、妙な虚しさすら覚えるのである。

当たりを引けば嬉しいかといえば、そうでもない。
外れを引けば悔しいかといえば、それもまた違う。

どちらに転んでも、結局は「それがどうした」という顔をして帰ることになる。

皆さんが想像する虚しさの百倍、と言っても決して大袈裟ではない。ひょっとすると、それ以上かもしれない。数年も通い続ければ、マッサージそのものよりも、自分が何を求めてこんなところへ通っているのかという方が、よほど分からなくなってくる。

そんな折、何の気なしに人様のブログを読み漁っていると、タイ人のスナックやパブが面白い、という話が目に入った。

これは少し気になった。

いや、少しどころではない。俄然、興味をそそられた。

考えてみれば、以前から気にはなっていたのである。

ただ、タイマッサージについては、ネットを少し探せば店の情報はいくらでも出てくる。ところがタイ人のいるスナックやパブとなると、事情がまるで違う。

どこに何という店があるのか。
そもそも何軒くらい存在するのか。
どんな雰囲気の店なのか。

私は何一つ知らない。

恥ずかしながら、まったくの未知の世界なのである。

こうなると、人間というものは妙なもので、知らないものほど知りたくなる。

タイマッサージの店で出会うタイ人女性ではなく、タイスナックやパブで働くタイ人女性と、酒でも飲みながら言葉を交わしてみたい。

そう思うようになった。

別に大それた目的があるわけではない。ただ、今までとは違う世界を覗いてみたいのである。

数年間、タイマッサージという同じ門ばかりをくぐってきたのだから、そろそろ別の門を叩いてみてもよい頃だろう。

幸い、世の中にはブログという便利なものがある。

しばらくは人様の書いたものを読み、情報を集めることにしよう。

そして、どこにどんな店があるのかを知った暁には、一度くらい実際にその門をくぐってみたい。

さて、タイマッサージに飽きた男が、今度はタイスナックへ行く。

これが新しい楽しみの始まりとなるのか、それともまた別の虚しさを発見することになるのか。

それは、行ってみなければ分からない。