毎年、この時期に、ボランティアに参加している。
フィリピンと日本の歯医者さんや歯科衛生士さんなどによる無料の治療・・・
海外のボランティアに参加するくらいなので、日本の参加者は皆さん、英語が話せるのだが、治療する方が英語が通じない、ということもしばしばあるので、通訳としてお手伝いしている。
主な治療は、「歯石を取る」「充填(虫歯に詰め物をする)」「抜歯」。
数に限りはあるけど、「入れ歯」も作ってくれるらしい。
公立の小学校を間借りして、2日間で、1000人以上を治療するかなり大がかりな活動だ。
30代にして、ほぼ歯がない人とか、10歳くらいなのに、ほぼ虫歯とか。
歯磨きとかしてないんだろうなぁ・・・
と、思わざるを得ない。
一応、最初に、本人に、どんな治療が希望なのかを聞くんだけど、
「クリーニング!(歯石除去)」
と、自信満々に申告する人が多い。
虫歯で、ほぼ歯が溶けてなくなっている状態で、だ。
たぶん、だけど。
歯石除去、という本来の意味を理解しないで、「クリーニング」という言葉を、単に「きれいにする」と思い込んでいるのだと思う。
日本から参加している歯医者の方は、あまりの口の中の惨状に、とりあえず絶句するんだけど、それでも患者のためにって、いろいろとアドバイスをしてくれる。
虫歯が進行して、ほぼ歯がなくなっているような状態のを放っておいても、痛くなるだけ(今、現在も痛いだろうに?)だから、抜歯を進めるが、頑なに拒否し、
「クリーニング!」
と、言い張る。
いきなり、抜歯というのは、確かに怖いかもしれない。
でも、これ、放っておいてもいいことないじゃん・・・?
麻酔もするし、抜く時は痛くないよ?
と、説得しても、
「クリーニング!」
と、言い張る・・・
そして、言い訳として言い切るのが、
「重いものを持つから歯は抜けない」
「父が絶対、ダメと言う」
まぁ、これから肉体労働をする人にとっては、正当な理由かもしれないけど、どうみても重いものを持つような仕事をしていない人でも、これ、使うから。
あと、「父がダメと言う」と、言い張るのは、だいだい小学生くらいなんだけど、一応、みんな保護者の同意書を持ってきてるわけで、意味不明・・・
「おばあちゃんの遺言でそれはできない・・・」
みたいなもんか?
虫歯だらけの小学生の何人かが、歯石除去を希望していたが、診察したら、まだ詰め物で治療できる歯があったので、それを勧めたが、一切、聞き入れてもらえなかった・・・
抜くわけでもないし、詰め物で、歯が助かるなら、そっちの方が断然、いいに決まってるじゃん!
と、私たちは思うけど、
「クリーニング!」
と、譲らなかった。
「だ~か~ら~!虫歯がないんだったら、クリーニングでもいいよ?けど、実際に、虫歯だらけで、しかもまだ抜かなくても大丈夫なんだよ?このままだったら、痛くなって、抜かなくちゃならなくなるんだよ?」
「痛くないもん。」
そもそもの話なんだけど、虫歯というのが何かをわかっていないんだよね。
歯を磨くということも、何のためかもわかっていないんだと思う。
20代の男性で、上の歯がほとんどない人がいてね・・・
「何で上の歯がほとんどないの?」
って、聞いたら、
「学校で喧嘩ばっかりしてて、殴られたりしてたから・・・」
と、言うのだが、歯がない、といっても、虫歯が進行して、溶けたような感じで、根っこが残っている状態で、明らかに外的要因でなくなったわけじゃーないんだよね・・・
「へ、へぇ、そうなんだ。で、どうやって食事しているの?」
と、聞けば唯一残っている犬歯一本で、噛んでいると・・・
す、すごいな。
改めて教育って大事だなぁ、と、感じたよね。
私たちが「常識」として知っていることが、知らなわけだからさ・・・
だから、説得を始める時に、鏡を渡し、自分の口の中を見てもらうことにした。
真っ黒になっている自分の歯を見てもらい、
「こんな虫歯になっているじゃん?」
「虫歯って何?」
そっからかよっ!
しょうがないから、そこから説明し、放っておくと、痛くなるし、いずれは抜かなくてはならなくなるし、抜いたらもう生えてこないよ?と、説明しても、
「クリーニング!」
と、頑なに歯石除去を希望する少女に、幸あれ・・・