予告通り思い出話
ホテル業で夜勤をしていた頃、勤務時間はかなり特殊でした。
夕方に出勤して、そのまま翌朝まで働くスタイル。感覚的には「一回の出勤で二日分働く」ような感じです。その代わりに夜勤明けの後は2連休確約だったので実質2.5連休のようなものでした。
出勤する頃はまだ人も多くて街も明るいのに、退勤する頃には通勤ラッシュが始まっている。最初はそのギャップがちょっと面白くて、「自分だけ違う時間で生きてるな」と思っていました。
特に大好きだったのは月曜日の朝に夜勤が終わる日。これから1週間が始まる憂鬱な社会人たちとすれ違いながら居酒屋に向かってる高揚感・優越感は体感しないときっと伝わらないでしょう。
でも、ホテルの夜勤ってただ静かなだけじゃないんですよね。
基本の流れは夜のチェックイン対応が落ち着いたと思ったら、翌日のスタンバイ業務という流れです。何もなければいいのですが、そうもいかないのが24時間営業の怖いところ。
急なトラブル対応が入ったり、ゲボ吐いてる酔ったお客様の対応をしたり、夜中は不審者の来館、早朝には海外のゲストのチェックアウトも始まる。しかしながらいわゆる会社の偉い人は夜勤をもちろんしないので机上の空論ばかり押し付けてきて夜間の人員を増やそうともしないので一人当たりの負担は稼動と比例するように増えていきました。
仮眠もなく体が休まるわけではないので、勤務が終わる頃には頭がぼーっとしていました。なので夜勤明けで残業をするのは集中力も切れるのでお勧めできません。そりゃあ2日分まとめて働いた後になので。体感、業務効率は1/3って感じです。
この前提で伝わるかはわかりませんが、それでもあの独特の空気感は嫌いじゃなかったです。
深夜の静かなロビーとか、スタッフ同士のちょっとした雑談とか。「あと数時間で朝だな」なんて言いながらタバコを吸ってる時間が妙に落ち着いたり。夜勤メンバーって、変な連帯感があるんですよね。昼間とは違うチーム感があって、いつもよりも心も開放されて話しやすい雰囲気はあります。
ただ、生活リズムはかなり崩れました。当時は崩れてると思わず当たり前と思っていましたが。
夜勤明けって、疲れているはずなのに変にテンションが高いんです。なので、「今日は頑張ったし」と理由をつけて、朝からラーメンを食べに行ったり、コンビニで酒を大量に買い込んだりしていました。完全に夜勤明け特有の謎テンションです。
しかも、そのまま昼まで起きてしまって、結局ちゃんと眠れない。気づけば休みの日も昼夜逆転していて、普通の生活リズムに戻すのがかなり大変でした。くだらない記録ですが、最長記録は夜勤明け朝9時〜23時まで飲み続けたこともあります。
当時は若さもあって、「まあ何とかなるか」で乗り切っていました。ある種、職場内には不摂生でなんぼみたいな風土もあって酒好きメシ好きばかりの環境にどっぷりと浸かっていたし、なんなら何人もの若者を率先して不摂生側に引きずり込んできました。
今思うと結構無理していたと思います。健康診断の結果も年々悪くなっていましたし、ずっと疲れが抜けない感覚もありました。きっとキャラを守るのに必死だったのでしょう。
今は夜勤をしていないので、生活はかなり変わりました。夜に寝て朝に起きるだけで、こんなに体調って違うんだなと驚いています。食事の時間も安定しますし、変な時間に爆食いすることも減りました。
もちろん、夜勤を全部否定するつもりはありません。あの働き方だからこそ経験できたことも多かったですし、夜のホテルならではの空気感は今でも楽しい思い出です。
でも、続けてみて実感したのは、「健康って後から効いてくる」ということでした。あの頃は楽しかった。でも、今の生活の方が体は圧倒的に楽です。
だからこそ夜勤をしている人を見ると、「ちゃんと休んでね」と思います。自分が当時、一番できていなかったことなので。朝から酒を飲むのは楽しいけど冷静に頭おかしいぞと。ほどほどにな、みんな。