作曲家の服部克久さんが

お亡くなりになりました。
 
 
昔から慣れ親しんできた
多数のテレビ番組テーマ曲やアニメソングを
手がけてこられた偉大な音楽家の訃報に、
ひとつの時代の終焉を感じます。
 
 
服部さんが手がけられた作品のなかでも
『日曜特集・新世界紀行』
のオープニングテーマ
『自由の大地』は、
 
世界の様々な史跡や文化を映し出すという
番組内容に合致した壮大なものであり、
まだ見ぬ世界の広さを感じさせてくれたものです。
 
 
その『自由の大地』をBGMにして
辰巳琢郎さんが出演し
蟹江敬三さんがナレーションを務めるという
豪華なキャスティングにより
制作された作品が、
 
日清食品からかつて販売されていた
本格袋麺『麺の達人』のCMです。
 
 
 
 
海を臨む草原で冒険者の格好をして
麺の達人をすする辰巳さん。
 
 
「どんな才能をもってしても、
 手に入らなかった麺。」
 
という蟹江さんのナレーションが入ります。
 
 
 
「ラーメン史上、類を見ない生麺感覚。
 “麺達”。」
 
 
麺の達人を噛み締めながら
思いにふける辰巳さん。
 
 
 
「しかし、その驚異のうまさについて、」
 
 
辰巳さんは急にハッとした表情を浮かべて
後ろを振り返ります。
 
 
 
「モアイの石像は何も語ろうとはしない。」
 
 
振り返った辰巳さんの視線の先には、
青い空と白い雲の下、
ただ正面をじっと見つめてそびえ立つ
モアイ像がいたのです。
 
 
 
立ち並ぶモアイを背に、
感慨深げにまた麺の達人をすすり始める
辰巳さんを映しながら、
 
「日清、麺の達人。」
 
というナレーションとともに、
 
麺の達人のパッケージが下からゆっくりと
荘厳にロールして現れ、
CMは終わります。
 
 
 
 
 
 
 
一見、ここまでするかというほど
壮大な雰囲気を持ってして作られたCMですが、
 
この『麺の達人』の持つ
生麺のような舌触りとコシのめん、
コクの深いスープは
食べると感動するほど類のないものであり、
 
これほど壮大なCMも納得出来る程の
他の商品とは一線を画す本格袋麺でした。
 
 
日清食品の『麺の達人』への自信と誇りが
このCMに表れているのだと思います。
 
 
 
しかし残念ながら、
『麺の達人』も2012年を持って
販売終了されました。
 
 
失われるものが多く寂しい限りですが、
 
服部克久さんの『自由の大地』を聞くと
新世界紀行で紹介された世界の風景を
思い出すとともに、
不思議と『麺の達人』の香りや食感も
思い出されるのです。
 
 
それは、
 
それほどまでこのCMが
インパクトの強い作品であったと同時に、
 
聴くとその時の記憶を克明に蘇らせてくれる
『自由の大地』が
紛れもない名曲であることを
証明してくれているのでしょう。
 
 
 
改めて、
服部克久さんの偉大さを追考させてくれる
CM作品です。